【4月29日 AFP】中国山東(Shandong)省緇博(Zibo)で28日に発生した列車同士の正面衝突事故について中国当局は29日、事故原因はスピードの出し過ぎだったとする見解を明らかにした。過去10年で最悪となった列車事故の死者は、70人を超えるとみられている。

 国営新華社(Xinhua)通信は29日、列車が「高速だったため」事故が起こったとする国家安全省管轄下の事故調査委員会関係者の談話を引用した。

 28日の事故では北京(Beijing)発青島(Qingdao)行きの列車が脱線し、対向して走ってきた煙台(Yantai)発江蘇(Jiangsu)省徐州(Xuzhou)行きの列車に衝突。衝突された列車も脱線し、計10両が横倒しになった。

■制限速度80キロを130キロで走行か

 調査委員会では、制限速度時速80キロの現場を、青島行きの列車が時速131キロで走行していたとみている。緇博市の広報担当者はAFPに対し「これは人災だ。列車の速度は速すぎた」と語った。

 また青島行きには1000人以上が乗車していたとみられ、地元当局では青島行きの運転手に対する責任追及の動きも出ている。先の広報担当者は「運転手に何が起こったのかは誰にも分かっていない」と述べ、生存している運転手の当時の行動に関し、詳細な調査が行われるだろうと語った。
 
 28日夜に発表された犠牲者の数は死者70人、負傷者416人で、1997年以来最悪の列車事故となった。現在も負傷者のうち数十人が危篤状態にあると伝えられ、また29日朝にさらに1体の遺体が運び出されたという情報もあり、今後も死者の数は増える可能性がある。

 事故現場は北京五輪のヨット競技開催地ともなっている海辺の観光地・青島への路線で、1日の祝日を控え早急に復旧された。(c)AFP/Robert J. Saiget