【4月22日 AFP】訪米中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世は22日、ミシガン(Michigan)州アンアーバー(Ann Arbor)でポーラ・ドブリャンスキー(Paula Dobriansky)国務次官(地球規模問題担当)と会談し、中国政府との対話に向けた米政府の支援を要請した。

 チベット問題の平和裏な解決を目指したダライ・ラマ14世とドブリャンスキー次官との会談は今回で12回目。 

 会談の中でダライ・ラマは、米政府が重ねてチベット問題への懸念を表明してきたことに触れ、「まさに今、われわれはあなた方の助けを必要としている」と述べ、中国政府に対し亡命政府との対話を再開するよう働きかけを要請した。

 会談後の記者会見でドブリャンスキー次官は「ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は、一貫して中国政府とダライ・ラマとの対話の必要性を主張してきた。今日の会談は、この問題をダライ・ラマと話し合う良い機会となった」と成果を語った。

 さらに同次官は、21日付けの米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙に寄稿し、「チベット人らによる暴動を収める影響力を持つのはダライ・ラマ14世だけであり、中国政府にとっても独立ではなく自治を求めるダライ・ラマとの対話のみがチベット問題の最良の解決策だ」と主張。加えて、中国政府に対し、チベット自治区の信仰の自由や民族アイデンティティーの保証、平和的手段で主張を表現し拘束された者の釈放などを訴えた。

 また、チベット(Tibet)自治区での暴動収束後に、中国政府が海外メディアおよび外交団向けに中心都市ラサ(Lhasa)のツアーを行ったことについて、「こうした限定的なものではなく、同自治区への取材活動や外交団の訪問が自由に行えることが重要だ」とした。

 一方、中国政府は米政府が中国の内政問題に干渉しているとしてこの会談を批判した。

 これまで中国政府はダライ・ラマ14世の特使などとチベットの地位などについて対話を重ねてきたが、2007年夏に予定されていた対話が延期されて以降は再開されていない。(c)AFP