【4月17日 AFP】イスラエルのエルサレム(Jerusalem)にある、ユダヤ教徒にとって最も神聖な場所、嘆きの壁(Wailing Wall)の一部が崩れ始めており、修復が必要だという。当局者が15日、明らかにした。

 嘆きの壁は第2神殿(Second Temple)の外壁の一部としてユダヤ教徒にあがめられていると同時にイスラエル最大の観光地であり、毎年約600万人が訪れる。

 嘆きの壁の起源は、紀元前37年にヘロデ大王(King Herod)が、当時ユダヤ教徒の信仰の中心だった第2神殿の改築を決め、その周囲に支持壁を建造したときにさかのぼる。現在、全長488メートルの嘆きの壁の大半は、旧市街地の道路や住宅の下を通っている。嘆きの壁広場に見える壁は長さ57メートル、高さ40メートルの部分のみ。信者はここで祈り、神へのメッセージを書いた紙を壁の割れ目に差し込む。

 皮肉なことに、紀元70年に神殿が破壊された際に残った壁の状態は良好で、ここ100年以内に増築された壁上部の小さな石が崩壊の兆しを見せているという。

 嘆きの壁のラビ(ユダヤ教の宗教的指導者)は「(壁には)2種類の石がある。2000年以上前の第2神殿時代のものは全般的に良い状態にある。問題は英国の委任統治時代に加えられた石だ。これらは崩れかけており、修復が必要だ」と述べた。

 修復は今週末に始まるユダヤ教の「過ぎ越しの祭り(Passover)」の後すぐに開始され、夏中行われるという。嘆きの壁広場は修復作業中も公開される。

 修復作業にはイスラエル考古学庁(Israel Antiquities Authority)がかかわり、人々が祈りをささげる場所には必要に応じて安全対策を講じるという。同庁の保存部門責任者は、定期点検により修復の必要な範囲を判断していると述べ、嘆きの壁は安定していることを強調している。(c)AFP/Beth O'Connell