【AFP】米大統領選の民主党指名候補、バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員が、前週カリフォルニア(California)州で行った発言をめぐり、ライバル候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員や共和党の大統領選候補、ジョン・マケイン(John McCain)上院議員らの非難の矢面に立たされている。

 オバマ氏は、前週カリフォルニア(California)州での資金集めパーティーで、今回の大統領選挙を左右するとみられている白人労働者層は経済低迷で苦しい生活を強いられており、経済問題よりも社会問題を重視するだろうとしたうえで、「苦々しい思いを抱く彼らが、不満を表現する手段として銃や宗教に依存し、排他主義、反移民、反自由貿易などに傾倒しても不思議ではない」と語った。

 この発言が クリントン、マケイン両議員の格好の攻撃の的となった。

 オバマ氏も「言葉が足りなかったかもしれない。私は、財産の量で人々の信念が決まるとは考えていない」と釈明に必死だが、民主党の指名候補レースでオバマ氏に遅れをとるクリントン氏は「オバマ発言」を絶好の巻き返しの機会ととらえ、ペンシルベニア(Pennsylvania)州での予備選で労働者票を取り込むべく攻撃の手を一段と強めている。

 自らを労働者層の味方と位置づけるクリントン氏は、経済不況に苦しむ同州ピッツバーグ(Pittsburgh)で、「すでに(経済低迷で)痛手を負った多数の米国人を見下している」と語った。

 また「人々は依存しているのではなく、信仰には価値を、銃には狩猟や趣味の楽しみを見いだしている。人々が求めているのは、上から見下ろす大統領ではなく、あなた方のために立ち上がる大統領であることが、オバマ氏には理解できていないようだ」と、オバマ氏批判を展開した。

 また、ピッツバーグに加え狩猟が盛んなインディアナ(Indiana)でも、子ども時代に父親に連れられ狩猟に出かけ、銃の扱いを教えられた経験を語ってみせた。

 同様に、共和党のマケイン氏もオバマ氏の発言を、「エリート主義的発言で、米国の基本的価値観と矛盾する」と切り捨てた。

 ピッツバーグでは、一足先にオバマ氏もクリントン氏批判を展開している。同地の製造業者団体の会合でオバマ氏は「選挙前にはいつも同じだ。候補者はテレビカメラの前でバラ色の公約を並べ立て、場合によってはテレビクルーを引き連れてあなたのそばに現れ、一緒にビールで乾杯してみせたりもする」と述べた。オバマ氏は「考えて欲しい。選挙の後、また一緒に飲みに来る候補者がいるだろうか」と続け、クリントン氏は労働者の味方ではなく企業ロビイストだと攻撃した。

 ペンシルベニアでは労働者層や労働組合を支持基盤とするクリントン氏がリードしてきた。しかし、前週のクイニピアック大学(Quinnipiac University)による世論調査では、支持率でオバマ氏はクリントン氏に6ポイント差まで詰め寄っている。(c)AFP/Stephen Collinson