【4月9日 AFP】ドイツ東部デッサウ(Dessau)に、巨大なピラミッドが誕生するかもしれない。ただし、王1人のためではなく、500万人のための墓地としてだ。

 このピラミッド建造プロジェクトを発表したのは、作家のIngo Niermann氏と、その友人で経済学者のJens Thiel氏。建設には時間がかかるが、数十年後にはエジプト・ギザ(Giza)のピラミッドをしのぐ大きさになるという。

Thiel氏によると、20-30年で200-300メートルに達し、最終的には600メートルほどになる可能性があるそうだ。これが実現すれば、ギザのピラミッドの4倍の高さとなる。「間違いなく宇宙から見える」とNiermann氏は話す。

 遺灰や記念品を収める約1立方メートルのブロック1つの価格は約1000ユーロ(約16万円)。アイルランドからインドネシアに至る46か国、約1000人からの申し込みがあるという。

 両氏はすでにプロジェクトのために連邦政府の補助金を確保している。提出されるデザイン案を審査するため、オランダの有名建築家レム・コールハース(Rem Koolhaas)氏の参加を取り付けた。コールハース氏はイタリアのファッションデザイナー、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)氏をプロジェクトに招き入れている。

 プロジェクトの目的は、単にプロテスタント、カトリック、ユダヤ教徒、イスラム教徒、無神論者共通の墓地を作るだけではなく、死すべき運命が人生の1部であることを知らしめることにもある。

 Thiel氏は、このピラミッドを生と死の「テーマパーク」と表現。庭園、アートギャラリーなどのアトラクションを併設し、ディズニーランド(Disneyland)のように数千人を雇用し、デッサウの経済を好転させたい考えだ。

 Niermann、Thiel両氏は今月、デッサウ市議会にプロジェクト案を投げかける。市長の説得には自信があると言うが、地元住民の説得には困難を感じているようだ。

「デザインコンペと同時に候補地の入札も行うが、デッサウになるかもしれないし、世界中のどこか別の場所になるかもしれない」と両氏は語った。(c)AFP/Emsie Ferreira