【4月3日 AFP】米ニューヨーク(New York)の裁判所は2日、ベトナム戦争における数々の武勇伝をでっちあげ40年間、英雄扱いを受けてきた60代の男に対し、詐欺罪などで執行猶予1年、社会奉仕100年の刑を言い渡した。

 起訴状によると、ニューヨーク在住のLouis Lowell McGuinn被告は1968年以来、米軍特殊部隊の元中佐になりすまして偽の勲章で自らを飾り立て、就職の便宜を受けたり、名声を得たりしていた。

 しかし米軍の記録によると、被告が所属しベトナム戦争に従軍したことは確かだが、さしたる軍功はなく一兵卒として除隊していた。

 検察は、偽の勲章を付けることは、戦死した後に殊勲十字章を受け取った兵士など、本物の自己犠牲を払った英雄たちに対する侮辱だと糾弾した。被告の有罪は、2007年12月に新しく施行された「Stolen Valor Act(盗まれた勇気に関する法令)」の下で確定していた。

 被告は2006年、米陸軍の勲章で2番目に高位の陸軍殊勲十字章のほか、銀星章、青銅星章、戦傷者に授与される3つのパープル・ハート勲章を身に付け、ニューヨークの豪華ホテルでの舞踏会に出席。その場にウエストポイント(West Point)陸軍士官学校を卒業した本物の中佐が居合わせ、McGuinn被告が「偽物」であることに気づいた。

 被告のうそを見破ったマーク・キムニー(Mark Kimey)氏は、この舞踏会で「仮装の際に演じられるのは常にシール(海軍特殊部隊)や特殊部隊。料理人の格好をする者など見たことがなかった」と述べた。(c)AFP