【3月20日 AFP】ベトナム戦争の写真などで知られる英国のフォトジャーナリスト、フィリップ・ジョーンズ・グリフィス(Philip Jones Griffiths)氏が18日、がんのため英国の自宅で死去した。72歳。マグナム・フォト(Magnum Photos)が明らかにした。

 1936年に英国ウェールズ(Wales)で生まれたグリフィス氏は1961年、英オブザーバー(Observer)紙のフリーランス・カメラマンとしてキャリアをスタートさせた。1962年にはアルジェリア戦争、その後中央アフリカを取材した。

 120か国以上でシャッターを切り続けたグリフィス氏は、カンボジアの仏教、インドの干ばつ、米テキサス州の貧困、湾岸戦争後のクウェートなどさまざまなものを取材した。1980年から85年にかけて、マグナム・フォトの会長も務めた。

 マグナム・フォトは「写真家(グリフィス氏)の眼は常に人間の愚かさに注がれてきた。・・・しかし常に、人間の尊厳とより良くしようとする人々の力を信じていた」とパリで声明を発表した。

 1996年から71年まで、グリフィス氏はベトナム戦争を取材。戦争の被害を受ける市民に着目した写真集『Vietnam, Inc.』を出版し、米国の世論が戦争反対へ向かう後押しとなった。2003年に出版した『Agent Orange』では、米軍が使用した枯れ葉剤が、次の世代に与える影響にカメラを向けた。

「ジャーナリズムとは、距離をなくし、遠いものを近くに感じさせ、人々の心に印象を残すことだ。写真を撮るたびに、人間性が刺激される。人間性を失えば、判断し、知り、見ることができなくなる」グリフィス氏は生前、英インディペンデント(Independent)紙が行ったインタビューで語っていた。

 2005年から06年にかけて、米国ではグリフィス氏の写真展「50 years on the Frontline」が開催された。(c)AFP