【2月23日 AFP】フィリピン政府は21日、ルソン島(Luzon)ブラカン州(Bulacan)を流れるメイカウアヤン(Meycauayan)川の浄化計画を発表した。

 メイカウアヤン川の流域には貴金属や革製品の工場が多く、下流は本土市民のための養殖場の水源となっている。アジア開発銀行(Asian Development BankADB)の最近の調査報告によれば、上流域では金製品工場から毒性のある重金属が、革なめし工場からも汚染物質が流れ込んでいる。

 下流の魚類・甲殻類の成育域の水質は環境基準に達しておらず、「世界有数、東南アジア最大の漁獲高を誇るフィリピンは、漁業国としての国際社会での地位を維持できなくなる恐れがある」と報告は警告を発している。

 ジョセリート・アティエンザ(Joselito Atienza)環境資源相は、メイカウアヤン川を「地球上で最も汚染された場所の1つ」と説明した上で、民間企業や海外支援団体と協力し、重金属や有機性汚濁物で汚染された河川を浄化すると述べ、声明の中で委員会を設立して「行動計画」を策定することを明らかにした。しかし、具体策については言及していない。

 メイカウアヤン川は前年、米国の環境保護団体ブラックスミス研究所(Blacksmith Institute)に「世界で最も汚染のひどい場所30」の1つに選ばれている。

 ADBは現在、5万ドル(約530万円)を投じ、10か月にわたるメイカウアヤン川の汚染度調査を進めている。調査を通じて、食物連鎖の危機につながりかねない危険があることを市民に訴える狙いだ。

 さらに調査では、重金属の排出量を削減し、汚染を除去する低コストの方法も模索するという。

 調査はブラックスミス研究所が行う。途上国の汚染地域の特定を専門とする同研究所によれば、途上国における死亡原因の2割が環境汚染によるものだという。(c)AFP