【1月27日 AFP】(1月28日一部更新、写真追加)ユタ州パークシティ(Park City)で開催中の「2008年サンダンス映画祭(2008 Sundance Film Festival)」で26日、最優秀審査員賞が発表された。

 ドラマ部門は不法入国に手を染める女性を描いたCourtney Hunt監督の作品『Frozen River』、ドキュメンタリー部門は今も尾を引くハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)の被害を描いたTia Lessin監督とCarl Deal監督の作品『Trouble the Water』がそれぞれ受賞した。

 Tia Lessin、Carl Deal共同監督の『Trouble the Water』は、ドキュメンタリー部門の最優秀審査員賞に輝いた。ハリケーン・カトリーナによるニューオーリンズの住民への当時の、そして今も残る影響を描き出しつつ、カトリーナが米国人の環境問題に対する意識に変革をもたらした一方で、最も被害を受けた人々が自国内で難民化している実態を浮かび上がらせた、自伝的要素の強い作品。

 賞を受け取ったTia Lessin監督は、「この作品は生き残ること、そして希望について語っています」と言った。

 両監督は、ニューオーリンズ出身の映画監督・音楽家のキンバリー・リバース(Kimberly Rivers Roberts)さんとキンバリーさんの夫スコット(Scott)さんと協力、キンバリーさんの地元の町のハリケーン以前、最中、ハリケーン後のホームビデオ映像を映画に織り交ぜた。

■ワールドシネマ審査員賞

 ワールドシネマ審査員賞のドキュメンタリー部門には、後に「今世紀最も芸術的な犯罪」として有名になったニューヨーク(New York)のツインタワーの間に張ったワイヤーの上で踊ったフランス人アーティストのフィリップ・プティ(Philippe Petit)を追ったジェームズ・マーシュ(James Marsh)監督の『Man on Wire』が輝いた。同作品はワールドシネマ観客賞ドキュメンタリー部門でも受賞した。

 同じくドラマ部門では、卓球に非凡な才能を持ついじめられっ子を描いたスウェーデン出身のJens Jonsson監督の『King of Ping Pong』が受賞した。またこの作品はワールドシネマ撮影賞ドラマ部門も受賞。

■観客賞3作品

 観客賞のドキュメンタリー部門には、Josh Tickell監督の『Fields of Fuel』、同ドラマ部門にはJonathan Levine監督の『The Wackness』、ワールドシネマ観客賞ドラマ部門にはヨルダンで50年ぶりに制作された長編作品Amin Matalqa監督の『Captain Abu Raed』が輝いた。

 Tickell監督は「わたしたちの子どもたちのために、緑あふれる持続可能な地球を一緒に創りましょう」と話し、同作品のプロデューサーGreg Reitman氏が「戦争ではなく燃料を作ろう」と呼び掛けた。

■最優秀監督賞と外国語映画監督賞

 ナネット・バースタイン(Nanette Burstein)監督は、インディアナ(Indiana)州のとある高校に通う4人の若者を通して米中西部の生活を描き出した『American Teen』で、ドキュメンタリー部門の監督賞を受賞した。Lance Hammer監督は『Ballast』でドラマ部門の監督賞を受賞、同作品は撮影賞(ドラマ部門)も獲得した。

 フランスのニノ・キルタゼ(Nino Kirtadze)監督が『Durakovo: Village of Fools』(ドキュメンタリー部門)で、ロシアのAnna Melikyan監督が『Mermaid』(ドラマ部門)で、それぞれワールドシネマ映画監督賞を受賞した。

■脚本賞、編集賞、撮影賞、審査委員特別賞

 脚本賞は『Sleep Dealer』のAlex Rivera氏とDavid Riker氏、ワールドシネマ脚本賞は『I Always Wanted to be a Gangster』のサミュエル・ベンシェトリ(Samuel Benchetrit)氏が受賞。

 国際的評価を得ている映画監督ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督が30年前に米国から逃亡した事件を描いた映画『Roman Polanski: Wanted and Desired』を手がけたジョー・ビニ(Joe Bini)氏がドキュメンタリー映画編集賞を受賞。Irena Dol氏は『The Art Star and the Sudanese Twins』でワールドシネマドキュメンタリー映画編集賞を受賞した。

 撮影賞は『Patti Smith: Dream of Life』(ドキュメンタリー部門)、ワールドシネマ撮影賞ドキュメンタリー部門は『Recycle』が獲得。

 審査員特別賞には『Greatest Silence: Rape in the Congo』(ドキュメンタリー部門)、『Anywhere, USA』と『Choke』(いずれもドラマ部門)が輝いた。(c)AFP/Michel Comte