【1月24日 AFP】自然食品は広く受け入れられるようになったが、そのための弊害も起きている。自然食品の生産がもはや需要に追いつかず、さらに「清潔・自然・健康」という初期の概念が利益のために犠牲にされていると、純粋主義者たちは指摘する。

 自然食品の売り上げは前年、ドイツで15%、フランスで10%近く増加した。その背景には、自然食品ブランドの増加、以前は低価格帯の食品を扱っていた大手スーパーマーケットチェーンの参入になどがある。

 自然食品崇拝は、北欧を中心に徹底した自然主義者たちから始まったが、いまではますます多くの人たちが崇拝している。

 ドイツの首都ベルリン(Berlin)で開催されている世界最大規模の農産物見本市「国際緑の週間(Grune Woche)」では、有機製法で作られたソーセージやワインを楽しむ来場者の姿が見られる。

 一方、欧州産の自然食品の生産が需要に追いついていないという現実もある。多くの果物、野菜、はちみつがトルコや中米などの遠方から輸入されているのだ。

 フランス販売流通連合(French federation of commerce and distributionFCD)のAlexander Rogge氏は「こうしたことが信頼性の問題をもたらしている」と指摘する。

「自然食品」とは本来、肥料や農薬を使わず決められた家畜飼養基準を順守して生産された食品のことを指すが、多くの人にとっては環境を尊重する健康なライフスタイルの信仰を意味している。遠方の国々から食品が輸入されることとは、まったく概念を異にするものだ。

 ドイツの自然食品販売団体を運営するUli Schnier氏は、例えば、トルコから輸入されたドライフルーツがフランスと同様の基準で生産されていることをどのように確認できるのかと、輸入食品の品質や認証について疑問を投げかけている。

 ドイツの自然食品販売連盟を運営するAlexander Gerber氏は「大手販売業者を含む商業部門がこの動きに参入したことは喜ばしい」としながらも、低価格販売のスーパーマーケットで自然食品が売られているのを見ると考え込まずにはいられないという。

「最近では品質が、生産方法の観点からのみ判断されている。しかし、自然食品はそれ以上のものを意味しているし、またそうであるべきだ。自然食品とは、環境と自然を尊重した、情緒的な意味での質に関連したものなのだ」と不満を口にした。(c)AFP/Mathilde Richter