【1月11日 AFP】中国北部、黒竜江(Heilongjiang)省ハルビン(Harbin)市は、中国で一番寒い都市の1つ。1月の気温は氷点下20度まで下がる。だが同市で毎年開催される世界最大規模の雪と氷のイベント「氷雪大世界(Harbin Ice and Snow World)」は、暖かい南の海のビーチよりも多くの観光客を引きつけている。

 氷雪大世界は、雪や氷でできた巨大な彫像がライトアップされたテーマパークの一種。毎年、中国の宮城やロシアの教会、フランスの大聖堂など数百点の作品が会場を彩る。

「(ハルビンの)まねをするイベントが国内にはいくつかあるが、ハルビンほど氷の祭典に適した土地はない」と話すのは、同イベントの運営責任者であるLiu Ruiqiang氏。

 会場付近には、冬になると凍る松花江(Songhua River)があり、毎年この川からイベントに使用する氷を切り出す。今回は昨年12月上旬から16日間かけて、1万5000人が12万立方メートルの氷の塊を切り出したという。

 会場の入場料は中国のイベントとしては高めの150元(約2300円)だが、1月には日本、韓国、タイ、シンガポール、東南アジア諸国からイベントめがけて観光客が大挙して押し寄せる。ハルビンの観光シーズンがピークを迎えるこの時期は、ホテルの宿泊予約が困難になるという。

 氷雪大世界を訪れる観光客は毎年平均約80万人。うち9割は中国人だという。「このイベントの目的は国内の観光客を獲得することで、以前から変わっていない」とRuiqiang氏は話す。「中国経済は急成長を遂げており、観光市場も活況を呈している。休暇を過ごす場所の新しい選択肢として、われわれはこのイベントを提供している」(c)AFP