【12月25日 AFP】アラブ世界で生産されるワインは、生産高・売上高の増加とともに品質も向上し続け、「ルネサンス」期を迎えている。その一方で、保守的なイスラム教徒らの反発は根強いという。

 フレンチワインの専門家Denis Dubourdieuさんによると、ワインがよく消費されるための3大条件は「お金、民主主義、平和」だ。アラブ諸国でこれらすべてが満たされているわけではないが、「状況は徐々に好転しつつある」という。

 同地域では、ワイン産業の国有化、戦争、そして欧州におけるブレンドワインの禁止といった「不遇の時代」が長く続いた。だが現在、アルジェリア、エジプト、ヨルダン、レバノン、モロッコ、チュニジアではブドウ栽培が盛んに行われるようになっている。

 これらの国々におけるワイン畑の総面積は8万ヘクタールで、130万ヘクトリットル(1億4600万ボトル)を生産する。総売上高は3億4000万ドル(約390億円)。計5万人がワイン産業から直接的・間接的に賃金を得ている。同地域でにおけるワイン産業の将来は明るいとされている。

 エジプト有数のワイナリーの社長、Andre Hadji-Thomasさん(レバノン人)は、1998年に現在のワイナリーを購入した。このワイナリーは、ナセル(Gamal Abdel Nasser)大統領時代に国有化され、その30年後に売りに出されていたものだ。「わたしにワイナリーで醸造されたワインを見せてくれたエジプト人従業員は、20年間ワイナリーで働いているにもかかわらず、イスラム教の教えを守って1滴たりとも口にしたことはない、と言っていたよ」とHadji-Thomasさんは当時を振り返り、微笑んだ。(c)AFP/Sammy Ketz