【12月24日 AFP】米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigatioFBI)のJ・エドガー・フーバー(J. Edgar Hoover)元長官が、1950年に「潜在的に危険な存在」とされる米国人約1万2000人を拘束し、その人身保護を停止する計画を提示していたことが明らかになった。ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が23日、伝えた。

 同紙は21日に新たに機密解除された情報関連文書を引用し、数十年にわたりFBIの長官を務めたフーバー氏が朝鮮戦争(Korean War)開戦から12日後、ホワイトハウス(White House)の国家安全保障担当の主任補佐官にあてた書簡を通じ、当時のハリー・トルーマン(Harry Truman)大統領に同計画を提示したと報じている。

 同紙のウェブサイトに掲載されたその書簡には、フーバー氏はFBIが「令状」を用い、長年かけて作り上げた名簿を基に、国家の安全に対し「潜在的に危険とされる特定の人物を全員逮捕する」とし、また「国家に対する反逆、スパイ行為、破壊工作から国を守る」ため、トルーマン大統領は大量拘束を正当化すべきだと記されている。

 また、拘束した人々に対し、人身保護と拘束の正当性に異議を申し立てる権利を停止することが求められていた。

 なお、トルーマン大統領と後任のドワイト・アイゼンハワー(Dwight Eisenhower)大統領がフーバー氏の計画を一部でも承認したとする形跡はない。

 1972年にフーバー氏が死去して以後、歴史学者は同氏について、しばしば職権を乱用し、市民の自由を侵害、また国家への破壊工作の危険性を誇張した人物として表現している。(c)AFP