【12月21日 AFP】マラソンは心臓発作による死を引き起こす危険な行為だという社会通念が実は間違いで、実際には大会開催により死者数が減少することが明らかになった。21日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal)」に研究成果が発表される。

 研究を行ったのは、カナダ・トロント大学(University of Toronto)のドナルド・レデルマイヤー(Donald Redelmeier)教授率いる研究チーム。

 メディアはマラソン中の突然死を見出しに踊らせるのが好きだが、実際は、大会開催のために道路封鎖を行うことで、主催者は人々を交通事故から救っていると研究は指摘する。

 研究チームは、米国で開催されているマラソン大会をランダムに26大会選んだ。各大会には少なくとも1000人のランナーが参加しており、調査期間の30年間では300万人以上のランナーが調査対象となった。

 研究チームは対象のマラソン大会で心臓発作により死亡したランナーの数を調べるとともに、大会の1週間前と1週間後、該当するマラソンコースで競技が行われる時間帯に交通事故で死亡した人の数を調査した。さらに、大会開催に伴う道路封鎖でマラソンコース外の交通量が増えたことによる影響があったかどうかを見るために、州内のマラソンコース外での交通事故死亡者数についても調査した。

 その結果、マラソン中に心臓発作で死亡したランナーが26人だった一方、道路封鎖により46件の交通死亡事故が回避でき、相対危険度が35%下がっていたことが分かった。

 また、マラソン中の心臓発作の半数近くは最後の1.6キロの区間で発生していることも判明したという。最後の力を振り絞って全力疾走し、その後突然走るのをやめることは、通常認識されている以上に危険であり、救急隊員や救急車はレースのゴール付近に重点的に配備されるべきと研究は指摘する。(c)AFP