【12月14日 AFP】遺伝性の筋ジストロフィーに、幹細胞の遺伝子治療が有効である可能性があるとする研究を、イタリアのミラノ大学(University of Milan)のYvan Torrente氏のチームが12日、発表した。

 Torrente氏のチームはマウスに人間の細胞を移植して最も頻度が高いデュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィー(DMD)を発症させ、回復させることに成功した。

 また、患者自身の細胞が治療に使える可能性があることも分かった。自分の細胞が使えれば、拒絶反応の危険性が低くなる。

 タンパク質ジストロフィンは筋肉の損傷を防ぐ働きをする。DMDは、このジストロフィンの生成を助ける遺伝子が突然変異してジストロフィンの生成が妨げられ、筋肉が劣化する遺伝性疾患。

 実験ではまず、DMD患者の筋肉内のCD133+細胞をマウスに移植し培養、DMD患者と同じように筋組織に欠損を生じさせた。次に、患者から採取した筋細胞のジストロフィン遺伝子の欠損を修復し、元通りにジストロフィンを生成できるようになったこれらの細胞を、同じマウスに移植したところ、マウスは正常な筋組織を生成し始めた。

 Torrente氏はさらなる研究が必要としながらも、「これらのデータによると、遺伝子工学によって生成された血液や筋肉のCD133+細胞は、幹細胞の自家移植によるDMD治療法の可能性を示している」と結論した。

 研究結果は医学誌「Cell Stem Cell」12月号に掲載される。(c)AFP