【11月22日 AFP】米国の提唱で米メリーランド(Maryland)州アナポリス(Annapolis)で27日に開かれる中東和平会議へ向け、米政府はサウジアラビアやシリアなど同会議開催に懐疑的な姿勢を示すアラブ諸国の参加を促すべく議題範囲の拡大を画策している。

 コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官は21日、米政府の意向として「可能な限り広くアラブ諸国の参加を促したい」と述べた。米国側は当初、議題をパレスチナ和平交渉の再開に限定する方針だったが、特にサウジアラビアを筆頭とするアラブ数か国の要望をくんで、より柔軟に議題範囲を広げることを決めた。

 ライス長官は「この会議がパレスチナとイスラエルの問題を協議するものであることは全員がはっきりと承知している。しかし、加えて最終的にはシリア-イスラエル関係およびレバノン-イスラエル関係の解決、ひいてはイスラエルとアラブ世界全体の関係正常化も必要であることを否定する者はいないだろう」と述べ、一例として、シリアがイスラエル占領下にあるゴラン高原(Golan Heights)の返還問題を持ち出しても、「誰もそれを不適切だとみなすことはできない」と語った。

■サウジアラビアとシリアの出席が鍵、議題は複雑化

 中東和平交渉再開を目指す米国にとって、サウジアラビアのサウド・ファイサル(Saud al-Faisal)外相の出席が得られれば、今回の会議の外交成果はあったものと考えられる。サウジアラビアはイスラエルを国家として承認しておらず、1996年に国連がエジプトで開催したテロ対策に関する国際首脳会議以外で、同国とイスラエルの政府高官が公式会談をもったことはない。今回の会議で、エフド・オルメルト(Ehud Olmert)イスラエル首相とサウジ外相が同席すれば、画期的な場面となる。

 一方、米国との緊張関係が続くシリアについて、米政府はサウジアラビアからの要請により招へいに同意した。シリアは他のアラブ連盟(Arab League)諸国と共にサウジアラビア主導の和平イニシアチブの推進を目指している。シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は、ゴラン高原問題も含め、より広範なイスラエルとアラブの問題について議論されない限り、会議への参加を見送るとしている。

 中東和平会議が近づく一方で、会議を主導する米政府側は日程以外についての公式発表はあいまいだった。しかし、デービッド・ウェルチ(David Welch)米国務次官補(中東担当)は21日、本会議はおよそ3部に分かれて開かれ、各部会では和平交渉への国際支持、経済発展や制度改革、包括的和平への取り組みなどがテーマとなるだろうと述べた。また、ウェルチ次官補は、シリアが意見を表明する場合も「マイクをオフにはしない」と明言した。(c)AFP/Sylvie Lanteaume