【10月31日 AFP】2月に第57回ベルリン国際映画祭(The 57th Berlin International Film Festival)で金熊(Golden Bear)賞に輝いた中国映画『Tuya's Marriage(仮題:トゥヤの結婚)』が、中国語版映画アカデミー賞と称される台湾の金馬賞(Golden Horse Film Awards)の賞レース参加を辞退したことが明らかになった。30日、United Evening Newsが報じた。

 中国政府が中国本土で制作された作品について、台湾での賞レースへの参加を禁じたため、『Tuya's Marriage』も参加を辞退することになったという。ただし、アン・リー(Ang Lee)監督の『ラスト、コーション(Lust, Caution)』など、中国、台湾、香港(Hong Kong)の合作は参加できる。

 自由時報(Liberty Times)は、「中国は、純粋な中国製映画を金馬賞に参加させないることにより、またもや芸術に政治を持ち込み妨害している」と報じた。

 同賞の主催者側は、同件についてのコメントを控えている。

『Tuya's Marriage』は、モンゴルの女性と彼女の2人の夫との愛を描いた作品で、金馬賞では作品賞と監督賞を含む4部門にノミネートされており、最有力候補と考えられていた。さらに、主演のYu Nanは女優賞にノミネートされ、『ラスト、コーション』でノミネートされたタン・ウェイ(Tang Wei)の主なライバルと見られていた。

『ラスト、コーション』は1940年代、日本の占領下に置かれていた上海(Shanghai)で生きるスパイを描いた作品で、トニー・レオン(Tony Leung)も出演、12部門にノミネートされている。9月に行われた64回ヴェネチア国際映画祭(64th Venice International Film Festival)では、金獅子(Golden Lion)賞を獲得している。

 12月8日に行われる第44回金馬賞授賞式には、30作品がノミネートされている。アカデミー賞授賞式のような形態をとっているが、カンヌ国際映画祭のように、審査員によって受賞作が決定する。(c)AFP