【10月30日 AFP】2003年に香港で起きた、俗に「イチゴ・ミルクセーキ殺人事件」と呼ばれている事件の被告が、この事件を扱った著作物の著者に対し「事実をゆがめている」として訴訟を起こした。

 訴訟を起こしたのは、同事件で終身刑を言い渡されたナンシー・キッセル(Nancy Kissel)被告。キッセル被告は2003年11月、多量の鎮痛剤を混入したイチゴ・ミルクセーキを夫ロバートさんに飲ませた後、金属製の装飾品で撲殺。2005年に終身刑を言い渡された。
 
 同被告の弁護士によると、同被告は、この事件を扱ったジョー・マクギニス(Joe McGinniss)氏の著書『Never Enough』が、被告や知人について「極めて不快な誤った人物像」を描いていると主張しているという。

 被害者の父親も「著者は故意にセンセーショナルな書き方をせざるを得なかった。裁判についてはすでに詳しく報じられており、著者は読者ののぞき見興味をそそることぐらいしかできないからだ」と非難しているという。

 米国ミシガン(Michigan)州出身のキッセル被告は1997年に家族と香港に移住。2003年に、米国ニューハンプシャー(New Hampshire)出身のテレビ修理工と駆け落ちするために夫を殺害したとされているが、被告は夫の暴力に対する自己防衛だと主張している。

 『Never Enough』は11月1日に出版の予定。著者のマクギニス氏は、リチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領の1968年の大統領選を扱った著書『The Selling of the President』でも知られている。

 Kissel被告の控訴は2008年4月に予定されている。(c)AFP