【10月17日 AFP】ジャワ島にあるクルド山(Mount Kelut)に噴火の危険が迫っているとし、インドネシア当局は16日、近隣住民に避難を呼び掛けた。同日夜以降、11万人以上が避難したが、勧告を無視したり避難先から帰宅する住民が相次いでいる。

 クルド山は東ジャワ(East Java)州にある高さ1731メートルの活火山。1990年の噴火時よりも強い前兆が観測されているため、当局では24時間以内に噴火する危険が高いと、警戒レベルを最高水準に引き上げた。クルド山観測所の所長は「震源の浅い揺れが観測されており、噴火の可能性は依然として高い」とAFPに語った。

 保健省危機管理センターのRustam Pakaya所長によると16日の夕方以降、火口から半径10キロ圏内の住民数千人のほか、ブリタル(Blitar)地区とクディリ(Kediri)地区の住民11万6300人が避難した。

 しかし、住民の中には、財産を守るために避難勧告を無視したり、避難先から自宅に戻ったりする住民もいる。

 災害管理当局のGatot Subandi氏は、「深夜に1000人前後が避難したが、朝になって一部の男性が自宅に戻った。彼らを止めることはできない」という。

 同火山を見慣れている年配の住民の中には、今回はまだ噴火に至る状態でないと考える者も多いという。Subandi氏は「これまでのところ避難や、住民の受け入れ施設に関する問題は起こっていないが、いったん噴火が始まれば火砕流の方向は予測できず、注意しなければならない」と語った。前週、クルド山周辺の少なくとも9か村では避難訓練が実施された。
 
 クルド山の噴火では過去500年間に推計1万5000人が犠牲となっている。最大の被害は1568年の噴火で、亡くなったのは1万人前後とみられている。

 クルド山の斜面にはほとんど人家はないが、ふもとの平野部には人口が密集している。また登山観光地として人気がある。(c)AFP