【9月24日 AFP】(一部更新、写真追加)安倍晋三(Shinzo Abe)首相は24日夕、入院中の東京・慶応大学病院で記者会見し、突然の退陣表明により政治的空白を作ったことに対し、陳謝した。

 13日の入院以来、11日ぶりに初めて公に姿を見せた首相はか細く低い声で「閣僚をはじめとする政府関係者、与野党関係者、何より国民に多大な迷惑をかけたことをあらためておわびしたい」と、手元に用意した声明を読み上げた。辞任を表明した時機は「(臨時)国会の冒頭、所信表明演説直後の最悪のタイミング」だったと謝罪した。会見の様子はテレビで全国中継された。

 辞任の理由については、過去1か月体調が悪化を続け、「体力に限界を感じた。このままでは総理としての責任を全うすることができないと決断した」と述べた。最近数か月で首相の体重は約5キロ減ったという。脇には担当医師2人が付き添った。
 
 安倍首相は声高のタカ派として知られ、1年前の首相就任当時は自民党の期待の新星だった。しかし、閣僚らの失言や「政治と金」の問題など政権内にスキャンダルが後を絶たず、支持率は低下の一途をたどり、7月の参議院選挙で自民党は大敗。

 改造内閣による政権続投で立て直しを図った矢先、9月12日に突然の辞任を表明した。同日の表明直前には、参院選で過半数を制した民主党の小沢一郎(Ichiro Ozawa)代表に対し、11月1日に期限切れを迎える「テロ対策特別措置法」延長をめぐり、歩み寄りを得ようと党首会談を申し入れたが、拒否されていた。

 翌13日に首相は入院、担当医師団は強度のストレスと疲労による「機能性胃腸症」と診断した。

 首相は辞任表明の際、「最大の要因である健康問題について率直に、はっきりと話すべきだった」と繰り返し後悔を語った。同会見では、小沢民主党代表に会見を断られたことが理由だと示唆するかのような発言があった。

 23日に自民党は次期総裁に、福田康夫(Yasuo Fukuda)元官房長官を選出した。安倍首相は「明日で内閣総理大臣の職を辞することになるが、一人の国会議員として今後力を尽くしていきたい」と述べ、内閣総辞職を決める25日午前の閣議、および首相指名選挙を行う同日午後の衆院本会議に出席する意向を示した。(c)AFP