【9月23日 AFP】チリ最高裁による身柄引渡し許可決定を受けて22日、アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元ペルー大統領(69)がチリから本国ペルーへ送還されたことについて、フジモリ氏の日本亡命中、日本国籍を持つ同氏の引き渡しを拒んできた日本政府はこれまで、目立った発表をしていない。

 時事通信(Jiji Press)によると、ニューヨーク訪問中の町村信孝(Nobutaka Machimura)外相は同日、国連本部で記者団に対し「(フジモリ氏は)確かに日本国籍を持つが、チリでの司法手続きの結果に日本国としてコメントする立場にない」と述べ、日本政府がフジモリ氏の今後の処遇に関与する意図がないことを示唆した。

 フジモリ元大統領は22日、チリの首都サンティアゴ(Santiago)の空港からペルーの警察機に搭乗し、ペルーの首都リマ(Lima)に到着した。元大統領はペルーで、1990年から2000年の大統領在任中に軍による民間人殺害や人権侵害、汚職などに関与した罪で公判を受けることになる。

 時事通信によると、2006年4月にフジモリ氏と結婚した日本人の妻、片岡都美(Satomi Kataoka)さん(39)は23日、チリ最高裁が合議審による見直し判決によって、同氏に長期の禁固刑を科す可能性のある公判のために本国送還を許可したことについて失望を表しつつ、「すごく心配だが、なったからには次のステップで考えないと。これからが闘いです」と語った。フジモリ氏からはペルーへ出発する前に電話で、感謝を伝えられたという。(c)AFP