【9月19日 AFP】6日に死亡したイタリア人テノール歌手、ルチアーノ・パバロッティ(Luciano Pavarotti)氏が残した遺産のうち、1500万ユーロ(約24億円)相当分は信託財産として、2番目の妻ニコレッタ・マントバーニ(Nicoletta Mantovani)さんが相続することになったと、18日にイタリア国内メディアが報じた。

 この驚くべき事実は17日、ニコレッタさんの3人の弁護士がパバロッティ氏が死去する5週間前の7月29日に作成した最後の遺言状を公開したことで明らかになった。

 それ以前に作成された6月13日付の遺言状も有効で、財産を最初の妻との間に生まれた娘3人、ニコレッタさん、ニコレッタさんとの間に生まれた4歳の娘の5人の間で分配するようにとされている。

 ところが2番目に作成された遺言状には、遺産分配について特別条項が設けられており、同氏がニューヨークに所有しているアパート3つ、およびアンリ・マティス(Henri Matisse)の絵画など計1500万ユーロ相当の物品については、ニコレッタさんのみが相続、最初の妻との間の3人の娘たちは手出しできないとされている。これらの財産は同氏が死去する数日前に信託財産に設定したものだという。

 これについて、3人の娘たちの弁護士Fabrizio Corsini氏が日刊紙レプブリカ(La Repubblica)に対し、「驚くべきことだ」と語っている。同氏によると、パバロッティ氏は6月13日付の遺言状で、彼が代理人を務める3人に対し法に基づいて財産を分配するように指示しており、ニコレッタさんを遺言執行人に指名していた。ところがここへ来て事態が一変したため、信託財産の設定日時の有効性を確認し、その上でその財産価値の再査定を要求するという。

 一方、18日付地元紙によると、故パバロッティ氏の家族の弁護士らは遺書をめぐり問題が生じていることを否定しているという。

 パバロッティ氏の遺産は3000万ユーロ(約49億円)から2億ユーロ(約324億円)と、報じるメディアによって、推定総額が大きく異なっている。同氏は9月6日に生まれ故郷の北部都市モデナ(Modena)で死去。享年71歳。2003年に37歳のニコレッタさんと再婚していた。(c)AFP