【9月18日 AFP】クローン研究で不祥事を起こした黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)元ソウル大学(Seoul National University)教授が、研究が制限される韓国を逃れ、2か月前からタイで研究を続けていることが、18日明らかになった。

 黄氏の元弁護士が明らかにしたもので、同氏は現在タイで10数人の研究者とともに、ペット動物のクローン開発や、病気の治療に役立てられる幹細胞の生成を目指した研究を続けているという。

 また、「種を越えた」クローン化についても研究しているもよう。これは例えば、ヒトDNAをウシの卵子に注入してハイブリッド胚を生成するといったもので、このハイブリッド胚からは、アルツハイマー病や糖尿病といった慢性病や難病を治癒する鍵を握る幹細胞が生成される。

 韓国では、生命倫理法によりハイブリッド胚の生成が禁止されており、ハイブリッド胚の研究についても禁止すべきかどうかが議論の的となっている。

 黄元教授は、クローン技術で一時は韓国の国民的英雄と呼ばれたものの、幹細胞研究に関する論文捏造事件で信頼を失墜した。世界で初めてヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作ったとの黄元教授の2004年の論文が「捏造」されたものであることが発覚し、ソウル大学もこれを認めたことを受け、韓国政府は前年、黄氏に今後ヒトの卵細胞を用いた幹細胞研究を禁止した。

 さらに政府は、黄元教授に授与した「韓国最高科学者」の称号をはく奪。すべての公職を解任し、研究助成金を打ち切っている。(c)AFP/Park Chan-Kyong