【8月29日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が29日、就任以来初めて来日した。3日間の公式訪問で、京都議定書採択から10年を記念して同地で演説するほか、2012年に期限切れとなる同議定書後の新たな枠組みについて政府関係者らと協議する。

 メルケル首相は来日に先がけ3日間の日程で中国を訪問していた。中国では地球温暖化や同国の人権問題、民主化などについて首脳陣と会談した。

 外務省関係者によると、29日午後の安倍晋三(Shinzo Abe)首相との会談でも、これらの議題について協議。日独首脳級会談では中国に関する議題は欠かされたことがなく、今回は東アジア全体の一般的情勢とともに中国に対する見方について話し合われる見込みだという。

 6月にドイツで開催された主要8か国(G8)首脳会議で議長を務めたメルケル首相は、日本が議長国となる2008年G8サミットでも、前回の主要議題となった地球温暖化に重点を置く構えだ。

 中国を訪問したメルケル首相とインド訪問を終えた安倍首相は、温暖化ガス排出削減を目指し、京都議定書後のプロセスにいかにこうした新興経済国を引き込むかについて、互いの情報および意見を交換するとみられている。

 成長目覚ましい中国の経済は現在、米国、日本に次いで世界3位のドイツを今年末までには追い越すとみられている。一方、米国は京都議定書を批准しておらず、新興経済国に温暖化ガス排出削減に関する義務を課すことにも消極的だ。

 またメルケル首相は30日に、民主党の小沢一郎(Ichiro Ozawa)代表と会談する。小沢代表はテロ対策特別措置法の延長に反対し、アフガニスタンに展開中の米英軍などをインド洋上で給油支援している海上自衛隊の撤退を主張している。ドイツ軍はアフガニスタンに駐留する北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(International Security Assistance ForceISAF)に、兵士約3000人を派遣している。

 そのほかの日程には皇室訪問や、大阪で開催されている第11回世界陸上大阪大会(11th IAAF World Championships in Athletics Osaka)の見学などが予定されている。(c)AFP/Kyoko Hasegawa