【8月29日 AFP】中国の特別行政区、マカオ(Macau)のカジノでは、安全管理システムが重要性を増している。

 今年2月に世界各国のマスメディアをにぎわした事件がある。Sandsカジノで香港(Hong Kong)から来た16歳の少女が、スロットマシーンで9万5000ドル(約1100万円)を獲得したが、カジノ側は少女が制限年齢に達していないことを理由に支払いを拒んだ。

 前例のないこの事件は、CCTVカメラに残されていた映像が決め手となった。賭博の監視機関は、制限年齢に達していない人間が問題なく入場したのであるから、賞金を獲得する権利があるとして「いかさまをせずに」獲得した賞金は支払われるべきとの判断を下した。

■管理体制については秘密主義

 このような事例は通常、香港の少女の場合のようにメディアにリークされない限り、極秘扱いとなっている。

 いかさまや詐欺を防いだり、金銭トラブルを解決するシステムについてカジノ経営者は特に秘密主義を保っている。

 AFPはマカオにある4つのカジノに安全管理体制についての取材を申し込んだが、いずれも断られた。ゲーム機器や設備の製造会社も、率先して話すことはない。

■高性能技術でいかさまを駆逐

 カジノの監視システムを設計するVodatel Systems社の販売責任者は、カジノ経営者はいかさまや詐欺を監視するため、高性能技術に数百ドルをもつぎ込んでいるという。

 金属探知機を通り抜けカジノのフロアに入った瞬間から、客は絶え間なく複数の監視カメラや監視員の監視下にあり、その行動があらゆる角度から記録されているという。

 また、いかさま師の入場を防ぐため、複数のカジノが顔識別システムを試験的に導入しているという。同社が所有するソフトにより、世界各国の賭博取締当局が提供する好ましくない顧客のデータベースと頬骨と眼球を照合することができるという。

■やっぱり監視カメラ

 だが、CCTVが主要な監視ツールであることは変わりない。

 Sandsカジノや、28日にオープンした「ベネチアン・マカオ(The Venetian Macau)」にCCTVシステムを提供しているDallmeier Internationalの地域マネージャーは「監視カメラなしでは運営できないだろう。監視されていないテーブルではだれもゲームをしないだろう」と話す。

 同社はベネチアン・マカオに3000台のデジタルビデオ録画機を提供しており、今後6000台にまで増やす計画だという。これは世界最大のデジタル監視システムになる。マネージャーは「カジノ業界は最も先進的で洗練されたCCTVの顧客だ」と歓迎する。

 チップの額やどこに掛けられているか、その枚数などが識別できるほど接近することができるカメラが、平均2.5台、それぞれのテーブルを監視している。

■チップも完全管理

 世界最大のスロットマシーンメーカーでカジノの監視システムも手がけるInternational Gaming TechnologyIGT)によると、チップそのものにもそれぞれ電子タグが埋め込まれ、管理されているという。

 この電子タグは、2年前からラスベガス(Las Vegas)のカジノで導入され、今回ベネチアン・マカオの登場で初めて同地に上陸する。一般的には新パスポートや図書館の蔵書、家畜などに使われている。(c)AFP/Stephanie Wong