【8月23日 AFP】イラク北部で22日未明、米軍の輸送ヘリコプター「ブラックホーク(Blackhawk)」が墜落し、米兵14人が死亡した。イラク駐留米軍にとって新たな打撃となった。

 軍当局の発表によると、事故機はTask Force Lightningの夜間任務遂行中に墜落。武装勢力に攻撃されたことを示すものはなく、機械的故障が原因と見られるという。

 また、首都バグダッドでは米兵1人が戦闘中に死亡し、米兵の死亡者数は、2003年のイラク進攻開始以来3720人に達した。

 他方、バグダッドでの戦闘が発生した直後には、Task Force Lightningの担当地域であるバイジ(Baiji)の警察署に爆破物を積み込んだ車両が突入し、民間人19人、警察官5人の計24人が死亡している。

■ブッシュ大統領、マリキ首相支持を再度表明

 同日、米国のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は、イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相を擁護する発言をしている。

 相次ぐ自爆テロは、イラクの連立政権を苦境に追い込んでいる宗派間の対立を解消しようとするマリキ(Nuri al-Maliki)首相の努力にも暗い影を投げかけている。

 イラク戦争に対する米国民の支持を失いつつある米政府は、成果を上げられないマリキ首相に対して募る苛立ちをあらわにし始め、同首相への圧力をさらに強めている。

 米議会内からはマリキ首相の辞任を求める声が上がり、ライアン・クロッカー(Ryan Crocker)駐イラク大使はイラク政府の仕事ぶりについて「非常に期待はずれ」と評した。

 一方、ミズーリ州(Missouri)カンザスシティー(Kansas City)で退役軍人を前に演説したブッシュ大統領は「マリキ首相は、困難な任務を抱えた良い人間だ。わたしはマリキ首相を支持する」と語った。

■マリキ首相は政権批判に反論

 シリアの首都ダマスカス(Damascus)を訪問中のマリキ首相は、記者団に対し「イラク政府にスケジュールを押し付ける権限は誰にもない」と語り、関係改善に向けた取り組みをより緊急的に実施すべきとの圧力をはねつけた。(c)AFP/Dave Clark