【8月6日 AFP】英国で家畜伝染病の口蹄(こうてい)疫(Foot and Mouth disease)の発生が確認された問題を受け、欧州連合(EU)は6日、英国産の肉類および家畜類についてEU域内への輸出を全面禁止した。一方、英国政府は感染源の究明に奔走している。
 
 禁輸対象は生鮮肉と生きた家畜の両方で、牛だけでなく豚、羊、ヤギから乳製品まで広範囲に及ぶ。マルコス・キプリアヌ(Markos Kyprianou)EU保健担当委員の広報担当官、フィリップ・トッド(Philip Tod)氏によると、北アイルランドをのぞく英国全土からの輸出が禁止されるという。

 英国では今月3日、ロンドン南部の農場で牛が口蹄(こうてい)疫に感染しているのが発見された。動物衛生の専門家らは、同農場から数キロメートルに位置するピルブライト(Pirbright)にある研究施設のワクチン製造用ウイルスが感染源とみて、集中的に調査している。

 ヒラリー・ベン(Hilary Benn)環境相は「専門家らが現在、何が起こったのかを懸命に調査している」と述べ、48時間以内に報告を受ける見通しであることを明らかにした。

 口蹄疫のウイルスは感染力が高く、2001年に英国で大流行した。当時処分された家畜は最大で1000万頭に上るとみられる。今回の感染確認により、危機的状況の再来が懸念されている。

 感染確認後、英国政府は迅速に対応し、すべての牛、羊、豚の国内移送を禁止したほか、米国の輸入禁止措置に合意。また、感染ウイルスのウイルス株がピルブライトの研究施設のものと類似していることなども既に突き止めている。(c)AFP/Michael Thurston