【7月31日 AFP】6月の英連続テロ未遂事件に関与したとしてオーストラリアで逮捕され、3週間以上にわたる拘留後に訴追請求が取り下げられたインド国籍のモハメド・ハニーフ(Mohammed Haneef)医師(27)は30日、母国インドに帰国後、出身地のバンガロール(Bangalore)で記者会見し、オーストラリアの就労ビザ回復と職場復帰に向け「戦う」と決意表明した。

 ハニーフ医師はまた、今回の対応について、オーストラリア政府に対しインドへの謝罪を求めた。さらに法的措置を講じる可能性も示唆。記者団に対し「ビザを取り戻し、オーストラリアに戻りたい。そのために戦っていく」との決意を示した。

 また自身が受けた苦境について「わたしはゴールドコースト(Gold Coast)の病院で楽しく働いていた。ビザを取り戻すまで医師として仕事に復帰できないのは悲しく思う」と、抑えた口調ながら怒りをにじませた。

 一方、オーストラリアのケビン・アンドルーズ(Kevin Andrews)移民・市民権相は31日、ハニーフ医師のビザ取り消しの根拠となった秘密書類について、捜査に影響を及ぼす可能性があるため公表できないと述べた。

 アンドルーズ氏はシドニーの民放ラジオ局の番組で、個人的にはハニーフ医師のビザ取り消しの理由を示す「保護書類」の公表を望んでいるが、同国連邦警察に反対されたと説明。「ミック・キールティ(Mick Keelty)連邦警察長官によれば、その保護書類が公表されれば捜査に影響を及ぼす可能性があるとのことだった」と述べ、「この件に関し、わたしは捜査に影響を及ぼさないようにする責任がある」と話している。

 アンドルーズ氏は、稀にしか使われない自由裁量権を行使してハニーフ医師のビザを取り消し、訴追断念後もビザ回復を拒んだとして、国内で厳しい批判にさらされた。

 同移民・市民権相はまた、現在英国とオーストラリアで行われているテロ未遂事件の捜査にも言及し、「わたしは片手を後ろで縛られた状態だ」と語っている。(c)AFP/Anil Penna