【7月28日 AFP】アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)米カリフォルニア(California)州知事は、30日に60歳の誕生日を迎える。かつてボディービルでミスター・ユニバース(Mr. Universe)のタイトルを獲得し、俳優としても名を馳せたシュワルツェネッガー氏だが、現在は、米国でも重要な州の知事として、最も人気が高く、尊敬を集める存在となっている。

■「銀幕のスター」から「地球温暖化対策の中心人物」へ

 2003年に、同州のグレイ・デイビス(Gray Davis)州知事(当時)の歴史的なリコール選挙で初当選、2006年11月の中間選挙でも約56%の得票率で再選を果たした。

 かつて、映画「ターミネーター(Terminator)シリーズ」で殺人ロボット役を演じた知事は、カリフォルニア州の「ガバナー(governor(知事))」と「Terminator(ターミネーター)」をかけ、「ガバネーター(governator)」と呼ばれて、カリスマ的指導者として活躍している。

 シュワルツェネッガー知事はこの30日に、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領やビル・クリントン(Bill Clinton)前大統領と同様、60歳代の仲間に加わる。ハリウッド(Hollywood)にも、60歳代で「タフガイ」を演じ続けている俳優はいるが、知事は芸能界を引退し、政界入りしたことを後悔していないという。
 
 特に、シュワルツェネッガー知事の地球温暖化に積極的に取り組み、世界の要人からも一目置かれる存在となっている。

 カリフォルニア州は、2006年9月に温室効果ガス排出量削減に関する法案を成立させ、米国内で初めて地球温暖化に悪影響を及ぼすガス排出量の規制に踏み切った。イタリアと同等の面積を持ち、米国で最も豊かだといわれるカリフォルニア州は、この州のみで世界で6番目の経済力を持つ。同州の政策はトニー・ブレア(Tony Blair)英首相(当時)の称賛を受け、「この取り組みは世界中で反響が沸き起こるだろう」と言わしめた。

 世界中の指導者も地球温暖化についてシュワルツェネッガー州知事との会談を予定している。国連(United NationsUN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長に続き、8月にはドイツのフランクワルター・シュタインマイヤー(Frank-Walter Steinmeier)外相もシュワルツェネッガーとの会談を予定している。

■独自の中道路線で「大統領を目指す」と明言

 また、共和党に所属するシュワルツェネッガー知事だが、必ずしもブッシュ政権の政策に迎合してはいない。医療保険の国民皆保険制度や、病気治療法開発のためのヒト胚幹細胞研究への公的融資を支持している。知事は州議会で多数派を占める民主党党員にも働きかけ、独自路線を貫いている。

 就任演説では「中道は弱さを意味しない。骨抜きでもなければ、無駄なものでもない。それはバランスのよさを意味し、基礎がしっかりしていることを意味する。米国人は本能的に中道派であり、われわれの政府もそうあるべきだ」と述べている。

 また、オーストラリア生まれのシュワルツェネッガー州知事は、CBSテレビのインタビューで、同様に俳優からカリフォルニア州知事をへて、米国大統領となったロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領の足跡をたどり、自身もいつか合衆国大統領になりたいと明言。「常にトップを目指さないと」と述べた。

 ただし、米憲法では米国生まれの市民にのみ大統領選出馬が認められているため、シュワルツェネッガー知事の出馬は難しく、また2008年の大統領選に出馬予定の共和党員は、州知事の出馬を認めるような憲法の修正には反対すると見られている。(c)AFP/Tangi Quemener