【7月25日 AFP】米国、ロシア、国連(UN)、欧州連合(EU)による中東和平4者協議(Middle East Quartet)の特使に就任したトニー・ブレア(Tony Blair)前英首相は24日、訪問先のイスラエルで、シモン・ペレス(Shimon Peres)新大統領ならびにパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長と個別に会談した。

 ブレア特使は、パレスチナのサラム・ファイヤド(Salam Fayyad)新首相をはじめとする非常事態内閣の閣僚らともヨルダン川西岸(West Bank)で会談。その後の記者会見では、「(和平への)チャンスのときだ。ただ私にとって今最も大切なことは、(関係者)の話を聞き、現状について学び、熟考することだろう」と語った。

 ブレア特使はまた、エルサレム(Jerusalem)でのペレス特別副首相との会談の中でも「(和平実現に向けた)可能性」が示唆されたことを明かしたが、可能性が何らかの具体的な結果を生むかどうかは現時点では定かではないとし、慎重な姿勢を示した。

 一方、アッバス議長はブレア特使との会談について、「(パレスチナ自治区の)現状ならびに自治政府支援に向けた中東和平4者協議の役割について再確認した」と述べ、会談が状況確認だけで終わったことを明かした。
 
 パレスチナ解放機構(PLO)のサエブ・アリカット(Saeb Erakat)交渉局長は、ブレア特使が9月にも現地を再訪して事務所を開設するとの計画を明かしつつも、「パレスチナ国家建設を実現するには、入植地の地位、難民問題、分離壁などの解決すべき課題が山積みされている。それらを置き去りにしたまま、経済発展や自治、制度構築といったことを真剣に話し合うのは無理だ。まずは現実に目を向けなければならない」と指摘し、パレスチナ国家建設の実現を掲げるブレア特使を批判すると同時に、イスラエル政府についても非難した。(c)AFP