【7月23日 AFP】 スタントマンのレイ・パーク(Ray Park)は、
スター・ウォーズ(Star Wars)シリーズ映画『ファントム・メナス(The Phantom Menace)』で見るも恐ろしい悪役のダース・モール(Darth Maul)を演じた。そんな果敢な英国人マーシャル・アーティストは、未だに超大作映画でおなじみのキャラを演じる共演者の側では、憧れのスターに会って感激してしまう気持ちがあるという。

1999年、映画『スター・ウォーズ』が人々興奮の渦の中『ファントム・メナス』として戻ってきたとき、赤と黒のおぞましい顔の悪の戦士ダース・モールは世界中に貼られたポスターの中から鋭い目でにらみつけていた。ところが特殊メイクの下に隠れている強靭な筋肉の持つパークは、自身を映画スターだと思えずスター・ウォーズの俳優陣に畏敬の念を覚えるという。


■「私はスターだと思っていないんです」

 パークはAFPのインタビューで「私はスターだと思っていないんです」と語る。

「私も含めて象徴的なキャラクターを演じてることはわかっているけど、私はとてもこの映画を愛しているので、一般の人と同じようにスクリーン上の大スターを見て、観客の気持ちから抜け出すことができません。ですから本当に尊敬しているスターたちに会うと、とにかく感激してしまいます」さらには、「ハリソン・フォード(Harrison Ford)とマーク・ハミル(Mark Hamill)を除けば、『スター・ウォーズ』全シリーズの出演者にはほとんど会いました。私は彼らに会うことができて、近づいて『ハイ!』と声をかけて、そして私がどれだけ彼らの仕事を立派だと思っているかを伝えることができるなんて本当に幸運だと思います」と語る。

 『スター・ウォーズ』の30周年を祝して7月13日から15日までロンドンを会場に「Star Wars Celebration Europe」が行われた際、パークも出席した。意外にもパークは、同イベントでトークイベントを行っていた物語の中心人物ルーク・スカイウォーカー(Luke Skywalker)役の俳優マーク・ハミル(Mark Hamill)には会わなかった。武道のエキスパートのパークとマークとは席を2つ離れて座り、数え切れないほどの興奮するファンたちにサインをしていた。「まだマークには会っていない。このようなイベントのときに彼らに会うのは少し気が引けるんだ。なぜなら彼らのところには長蛇の列ができていて大勢に囲まれているからね。そこへ行くのは大変だよ」とパークは語った。


■「私にとって素晴らしいキャラクターでした」

黒いマントを着たモールは、銀河皇帝パルパティーン(Palpatine)になる悪役ダース・シディアス(Darth Sidious)のどう猛な弟子。ダブルブレイドライトセーバーを巧みに使いこなし、リーアム・ニーソン(Liam Neeson)演じるジェダイの騎士クワイ=ガン・ジン(Qui-Gon Jinn)とユアン・マクレガー(Ewan McGregor)演じるオビ=ワン・ケノービ(Obi-Wan Kenobi)と戦う。多くのスター・ウォーズファンの間では、この両者の勇壮な決戦の場面は圧巻だということで意見が一致している。

「武道の技術を生かせることができ、私にとって素晴らしいキャラクターでした。スタントマンとしてではなく演じた初めての役でスクリーンに30秒出ただけでも夢はかなっていたでしょう。映画に出演できたことを誇りに思い自分を良く思うときもありますが、写真を見ても未だにこれが自分だなんて信じられません」と語るパーク。

マーシャル・アーティスト、レイ・パークは今、スター・ウォーズ現象の中で自身の演じた役によって永遠のヒーローと崇められる人生と真摯に向き合っている。「私はそれを受け止めていると思います、確かではないけれど」

 「スター・ウォーズの役に挑戦することで、今のようにダース・モールに変装するファンや、こんな反響ぶりを見るとは知りもしませんでした。当時の私には考えも及ばないことです。非常に未熟で、未経験者に近いくらいでしたが、私はやりました。モール役を演じてすばらしい心地でした。2年もしないうちに人々はこの映画に熱狂し始め、その時になってようやくはっきりしました。観客が私のした仕事を楽しんでくれて、ありがたく思います」とパークは振り返る。

 『ファントム・メナス』につづいて、『スリーピー・ホロウ(Sleepy Hollow)』(1999年)と『X-Men』(2000年)に出演しパークは今後、2007年8月にはアクション映画の撮影に入る。

 最後にパークは「こうしてメディアに露出するのも楽しんでいます。武道とスターウォーズのおかげで私はおもしろいキャラクターを演じ、世界中を旅することができています」と語る。(c)AFP