【7月16日 AFP】6か国協議の米首席代表、クリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補は16日、ソウルで李在禎(イ・ジェジョン、Lee Jae-joung)統一相と会談し、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の進展に触れ、「ようやく次の段階の処置について話し合うことができる」と述べた。6か国協議は18日、北京で再開される。

 北朝鮮の核施設の停止・封印に対する見返りとして韓国から北朝鮮へ提供されるエネルギー支援の重油の第2便、7500トンは16日、韓国の港を出発した。李統一相によると、北朝鮮へは18日に到着する。

 ヒル国務次官補は同日、6か国協議の韓国首席代表、千英宇(チョン・ヨンウ、Chun Yung-Woo)外交通商省平和交渉本部長とも、18日から再開される協議の準備会談を行った。また17日には、北朝鮮代表の金桂冠(キム・ゲグァン、Kim Kye-Gwan)外務次官との会談も予定している。

 ヒル次官補は北朝鮮の核施設の恒久的な停止を年内に実現させたいとし、米国政府は「そのために必要なことはどんなことでもする構えだ」と述べた。一方で報道陣に対し、「初期段階が完了するのに7月までかかるとは思っていなかった。今後も課題が持ちあがることは覚悟しておかねばならない」と述べた。
 
 2月の6か国協議の合意では、北朝鮮がすべての核開発計画の放棄と核施設の完全な無能力化を宣言した場合、参加国はさらに95万トンのエネルギー支援を提供するほか、外交利益や安全保障における保証などを約束するとしている。

 米国などは、無能力化の対象とする「施設」には兵器や余剰プルトニウムを含めなければならないと主張している。また北朝鮮が密かに進めていると考えられている高濃縮ウラン(HEU)計画について、北朝鮮側の説明が不可欠だとしている。

 チョン韓国首席代表との会談を終えたヒル次官補は、「完全な非核化が完全に達成されなければならない」と強調しながらも、「解決へ向かう方向で、この問題を取り上げられると思う」と語り、高濃縮ウラン計画の解決に自信を示した。

 2002年に国際原子力機関(IAEA)の査察官が北朝鮮から国外退去させられて以来、寧辺(ヨンビョン、Yongbyon)にある核施設が政治的な動きから停止されるのは初めて。しかし、北朝鮮は2002年以降これまでに、核爆弾数個を新たに製造するに足るプルトニウムを抽出済みだと考えられている。

 米国政府は北朝鮮が「完全な非核化」を履行した場合、米朝の国交正常化と朝鮮戦争を完全に終結させるための平和条約の締結を視野に入れている。(c)Jun Kwanwoo