【パリ 3日 AFP】08年春夏パリ・メンズコレクションで、エディ・スリマン(Hedi Slimane)の後任にクリス・ヴァン・アッシュ(Kris van Assche)を抜擢したディオール・オム(Dior Homme)が1日、メディアやファッション関係者の注目を浴びる中で新作を発表した。チェルッティ(Cerruti)、スマルト(Smalto)も、デザイナー交代後初のコレクションだった。

■ディオール・オム

 若干31歳のクリスがデビューコレクションに選んだのは、ムッシュ・ディオールや、50年代の輝かしいハリウッドスタイルを思い起こさせる最高にエレガントなスタイル。足首へかけて細身になるプリーツ入りパンツに合わせたジャケットやタキシード、ストイックな印象の白シャツ、15センチもの折り返しがあるパンツ・・・。繊細なツイードや、グレーや黒の上質な布地を、非の打ち所がないテーラリングで仕上げた。

 「新たな選択肢を提案することが自分の役目」と語るベルギー出身のクリスは、「この上なくラグジュアリーな仕上がりになった。最高傑作です」と満足気に語った。

 作品をじっくりみて欲しいという想いから、一瞬で終わってしまうランウェイ形式でなくプレゼンテーション形式を選んだ。もう一つの理由は、「モデルを身近に見てもらうために顧客をサロンに招いていた当時のムッシュ・ディオールにオマージュを捧げたかった」

 フロック・コートのように前が大きく開いたシングルのツイード、細い下襟の付いたプリーツ入りブラウス、白い丸襟のピケシャツ。太陽光線を思わせるような背中のステッチ、不規則なプリーツ、クリスタルのよう輝く黒と白のビーズで刺繍されたブローグ・シューズ。

 「ディオールは、常に男性に最上のエレガンスと男らしさを与えようとするブランドだと考えている。ムッシュ・ディオールにオマージュを捧げた今回のコレクションでは、当時の優美さや上質な空気を呼び起こし、新たな魅力を見せようと思った」とクリス。

 だが同時に、「自分が“スポーツウェアの世代”に生きていることも強く意識している」とコメントした。
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    ■スマルト

     スマルトのヨン・チョン・バク(Youn Chong Bak)は、落ち着いたアースカラーで大人の男性に向けたシックなコレクションを見せた。ベージュ、オートミール、白、グレー、黒・・・。胸元が深く開いたウエストコート、シャープなシルエットのトレンチコート、ヨークやサテン地のオーバースモック。ショーを締めくくったのは、かみそりのように細いラペルのディナー・ジャケットだった。
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    ■チェルッティ

     チェルティのニコラ・アンドレア・タラリス(Nicolas Andreas Taralis)は、グランジな魅力溢れる新作を発表した。体にぴったりと添う細身のパンツにシースルーの黒のシャツ、ショート丈のマントと黒のジャケット。シャーロック・ホームズ風に羽織ったケープやコートも。パンツには、巨大なカマーベルトを思わせる黒のベルトをコーディネートした。極細のシルエットのスーツを引き立たせるため、モデルにはツィッギー(Twiggy)似の少女を起用した。(c)AFP