【6月14日 AFP】米航空機大手ボーイング(Boeing)は13日、「2007年度最新市場予測」を発表した。旅客や貨物輸送による航空機需要の高まりを背景に、「今後20年間で、2万8600機を販売する」との見通しを示した。金額にすると2兆8000億ドル(約344兆円)に相当する。

■航空業界全体のムードを反映した強気な需要予測

 ボーイングは、今後20年間、環境配慮型の航空機を求める、格安航空会社からの需要の増加を見込む。同時に、米国市場での事業拡大への意欲も示した。金額ベースでの最大市場はアジア太平洋地域で、総額2兆8,000億ドル(約340兆円)規模の海外市場で、約36%シェアを見込む。続いて北米市場が26%、欧州、ロシア、独立国家共同体(CIS)が合計で25%、南米、中東、アフリカ市場が13%のシェア獲得したいとしている。また、20年後の世界の航空機総数を3万6400機と予測している。

 ボーイングの強気な需要予測には、パリ・エアショー(Paris Air Show)の開幕を次週に控えた航空業界の楽観ムードが反映されている。18日から1週間の日程で開催される世界最大級の航空イベントである同ショーでは、ボーイングとエアバス(Airbus)間の白熱した取引受注合戦に関心が集まるものとみられている。エアバスが前週に発表した2007年前期5か月間の航空機受注数は201機で、ボーイングの407機に大きく遅れを取っている。

■航空業界へのCO2排出規制にもかかわらず

 航空機公害に対する懸念の拡大や、欧州連合(EU)が2011年の導入を計画している航空業界への二酸化炭素排出量規制にもかかわらず、強気の見通しとなった。

 これについて民間航空機部門のマーケティングを担当するランディ・ティンゼス(Randy Tinseth)副社長は、「経済成長や市場の自由化、効率的な運航を可能とする高性能新型機の開発などを好要因として、航空市場の拡大は継続すると見込んだもの」と説明。

 また同氏は、「航空機メーカーは、当然、環境保護に対する責任を求められる。地球温暖化対策として、排ガス削減型の新型機や効率の高い航空輸送システムの開発需要が高まる」と環境対策の重要性を強調した。(c)AFP