【6月8日 AFP】主要8か国(G8)首脳会議が開かれているドイツのハイリゲンダム(Heiligendamm)で7日、安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が2国間会談を行い、北方領土問題の協議継続を確認した。

■安倍首相は極東・東シベリア地域を対象とした経済支援を提案

 この席で安倍首相は、景気低迷に苦しむ極東・東シベリア地域を対象とした社会経済発展計画を支援する用意があると述べた。この計画の対象地域には、北方領土問題の原因となっている千島列島(クリール諸島、Kuril)も含まれる。
 
 具体的な計画の1つとしては、核エネルギーの民生利用を含む、エネルギー技術の共同事業を通じ、同地域でのエネルギーの安定供給を目指す。

 また、ロシアを経由してアジアと欧州をつなぐ「光ファイバーネットワーク」を構築し、インフラ設備や投資誘致を進める。

 このほか、観光、環境、治安対策、医療、人的交流分野での日露関係の促進も目指すとしている。

 日本政府関係筋によると、安倍首相の提案についてプーチン大統領は、「魅力的かつ建設的な申し出だ」とし、政府内で詳細を協議すると述べたという。

■北方領土問題は、9月に再び協議することで合意

 さらに、「領土問題を先送りせず、最終的解決に向けて、早急に交渉を促進しよう」という安倍首相の呼びかけに対し同大統領は、「日露間に存在する全ての懸念事項を取り除きたい」と述べ、「和平条約の締結を急ぎたい」と意欲を見せた。

 両首脳は、9月にオーストラリアで開催されるアジア太平洋経済協力会議(Asia-Pacific Economic CooperationAPEC)の首脳会合で、再び協議することで合意した。

 G8首脳会議に先立つインタビューで、プーチン大統領は日露間に領土問題は存在しないとする一方で、「同問題を解決に向け日本と協力する用意がある」と語っている。(c)AFP