【6月6日 AFP】ブラジルのアマゾン(Amazon)州は6日、同国初の温暖化対策法を施行した。アマゾンの森林破壊や環境劣化を抑制する手法として、温室効果ガスの排出削減クレジット(カーボン・クレジット)を他国政府や企業などへ売却し、資金を温暖化対策に振り向ける姿勢を打ち出した。

 Edouardo Braga州知事によると、アマゾン州は同法により、アマゾンの森林破壊や環境劣化を抑制するために「ジャングル・ファンド」または「森林スカラシップ」を創設し、生態系の保護および森林破壊の抑制に乗り出す。広大なアマゾン川沿いのジャングルのうち、3分の1がアマゾン州に属する。

 構想では、「環境汚染先進国」や温室効果ガスを排出している企業などが消化しきれない排出枠分について、代わりにアマゾン州のクレジットを買ってもらう。引き換えにアマゾン州から、森林破壊抑制に協力したとして排出削減量証明を発行する。

 アマゾン州の環境担当官Virgilio Viana氏は、年間3000万円(約3億6500万円)の基金への投資を見込み、2010年までに3億ドル(約365億円)程度にまで成長させて、アマゾン地域の約6万世帯の家庭に分配したいとしている。ブラジルは世界第4位の温室効果ガス主要排出国で、貧困に苦しむ多くの地域が、森林伐採や開墾、家畜飼育や焼き畑式農業などを行うため、森林破壊が進行し、問題となっている。現在、基金の恩恵を受ける候補世帯のリストにはすでに8500世帯が登録されている。

 国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)の同地域ディレクター、Paulo Adario氏によると、ブラジルが政府としても取り組むべき施策の重要な先例になるとして、環境団体らはこの施行を歓迎している。(c)AFP