【6月1日 AFP】自由民主党中川昭一政調会長は1日、安倍晋三首相が憲法改正問題を7月の参議院選挙の争点とすることに意欲を示しているとの見方を示した。

■世論調査では「改憲より年金」

 中川政調会長によると、自民党は7月の参議院選挙で憲法改正と年金改革を公約に掲げるという。

 「国民は日常生活の安全や、外交、安全保障の問題を真剣に考えていると確信している」と述べた。また、「現行憲法のどの部分を改正すべきかを議論することが重要だ」との考えも示した。

 一方、今週、実施された世論調査によれば、一般的には憲法改正よりも年金問題に関心が集まっている。

 また、年金問題や自殺した松岡前農相の事務所費問題などを受け、安倍首相の支持率は急落している。

 先に、社会保険庁が約5000万件の年金記録が払い主不明となっている事実を公表。払い主が既に死亡している場合や、本来の支払い年金額以下の受給額となっている高齢者もいると思われ、世間の大きな関心を呼んでいる。

■年金特例法案をめぐる与野党の攻防

 野党側は与党の年金特例法案を「その場しのぎの法案」と呼んで反対。不信任案の提出で年金特例法案の成立阻止を目指したが、与党は1日、衆議院で年金特例法案を成立させた。

 一方、安倍政権側は、野党の法案成立阻止は、参院選をにらんで国民の意識を年金問題に集中させる戦略だとして非難している。

 中川政調会長によれば、法案提出は「年金制度問題に対する緊急かつ総合的な解決策」だという。

 7月22日に投票日を迎える参院選で自民党が敗北を喫したとしても、衆院での多数は変わらないため政権交代には至らないが、安倍政権にとっては大きな打撃となることは間違いない。(c)AFP