【5月31日 AFP】米政府は30日、2007年11月にロンドンで発生したロシア連邦保安局(FSB)元情報局員アレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏毒殺事件の容疑者であるアンドレイ・ルゴボイ(Andrei Lugovoi)氏の身柄引き渡しを英政府が求めている件について、英政府を全面的に支持すると発表した。

■米政府、静観から一転の英国支持へ

 国家安全保障会議(National Security CouncilNSC)のゴードン・ジョンドロー(Gordon Johndroe)報道官は、「米国は英国の容疑者の身柄引き渡し要求を支持する。これは重大な犯罪であり、厳正に対処する必要がある」と語った。

 米政府は前週、同容疑者の身柄引き渡しをめぐる英国とロシアの対立には関与しない方針を示していた。しかし今回、英国を支持する姿勢を鮮明に打ち出した。

■英国の身柄引き渡し要求をロシアは拒否

 英政府は22日、旧ソ連国家保安委員会(KGB)元職員のルゴボイ氏を殺人罪で起訴すると発表し、ロシア政府に同氏の身柄引き渡しを求めた。

 ロシア側は「憲法の規定により、ロシア国民を外国の検察に引き渡すことはできない」としてこれを拒否。英国はロシア政府との事前の合意により、身柄引き渡しは可能であると主張し、両国間の緊張が高まっている。

 ロシア検察局は、リトビネンコ氏殺人事件について、独自捜査を既に開始している。同検察局は、英国側がルゴボイ氏の罪状を裏付ける証拠を示した場合、ロシア国内で刑事訴追される可能性があるとしている。

 現在はセキュリティー会社とソフトドリンクの会社のオーナーを務めるルゴボイ氏は、無罪を主張している。(c)AFP