【ナハル・アルバーリド/レバノン 22日 AFP】北部トリポリ(Tripoli)を中心に起きたレバノン治安部隊と武装組織「ファタハ・イスラム(Fatah al-Islam)」の戦闘は、21日も続き、死者はこれまでに58人にのぼった。これを受けてレバノン政府は同日夜、停戦を呼びかけた。

 停戦の申し入れは、スンニ派組織「ジェマ・イスラミア(Jamaa Islamiya)」の仲介で行われた。一方、フアド・シニオラ(Fuad Siniora)首相は、法と秩序の回復に全力を挙げると述べた。

 戦闘2日目の21日、治安部隊はファタハ・イスラムの本拠があるトリポリ市内のナハル・アルバリード(Nahr al-Bared)難民キャンプを砲撃するなどして、2日間の死者は市民10人を含めて58人にのぼった。レバノン内戦(1975-1990)以来で最悪の死者数となった。

 こうした事態を受け、パレスチナ解放機構(PLO)のファタハ(Fatah)派レバノン事務所代表のスルタン・アブル・アイネイン(Sultan Aboul Aynan)氏は、パレスチナ難民に多数の死傷者が出ているとして、治安部隊に対し、攻撃の停止を求めた。

 ファタハ・イスラムは、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と関係があるとされる。親シリア派ともされる。

 最も激しい戦闘が行われているナハル・アルバリード難民キャンプでは、インフラが破壊され、深刻な人道危機に直面している。こうした中、国際社会は、レバノンにおける暴力を非難し、秩序回復を求める声を上げ始めている。

 20日には、潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)国連(UN)事務総長が、ファタハ・イスラムの行動を「レバノンの安定と主権への攻撃」と非難している。

 シリアは、今回の騒乱が、国連安全保障理事会(UN Security Council)に対して2005年のラフィク・ハリリ(Rafiq Hariri)レバノン元首相暗殺事件を裁く国際特別法廷の設置を促すよう仕向けられたものだとしている。同元首相の暗殺についてはシリアの関与が疑われている。

 シリアのBashar Jaafari国連大使は、シリアとファタハ・イスラムとの関係を否定している。