【サンパウロ/ブラジル 11日 AFP】ブラジル各地の主要12都市で、同性愛者と妊娠中絶に賛成するカトリック信者の女性らによる抗議運動が展開されている。ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)の訪問を、「バチカンがブラジルの社会政策を左右しようとしているものだ」と強く非難している。

 9日から法王が滞在しているサンパウロ(Sao Paulo)中心部のサン・ベント(Sao Bento)修道院にほど近い、セー大聖堂(Cathedral Se)の前では、女性たちが掲げた「カトリック信者だってセックスの喜びを知っている。コンドームの使用、性の多様性を認め、中絶する女性を非難するな。教会の“序列”はいつ変わるのだ?」と書かれたポスターが、道行く人の目を引いていた。

「選択する権利のためのカトリック組織(Catholic Organization for the Right to Choose)」のドゥルス・ザビエル(Dulce Xavier)氏はAFPの取材に対し、「われわれは法王に、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)と教会における女性の役割について、メッセージを送りたいのだ」と述べた。

「ゲイ、レズビアン、両性愛者、異性装者およびトランスジェンダー(性別越境者)でつくるブラジル人協会(Brazilian Association of Gays,Lesbians,Bisexuals,Transvestites and Transsexuals、ABGLT)」は9日、ブラジルが「事実上の非宗教国」となることを求める公開書簡を発表した。

 公開書簡は、「われわれは、バチカンに始まる宗教組織が世論の圧力を振りかざし、世界中のゲイやレズビアン、両性愛者、異性装者、トランスジェンダーのための法案の成立を阻むやり方を、公然と非難する」と宣言。また、宗教的な信念は「政府の政策を左右することはできず、まして差別の理由とされてはならない」とも述べている。ABGLTには、国内200の組織が所属している。

 9日夜、サンパウロ中心部で行われた同性愛者らによる抗議運動では、「主イエスはゲイを愛したもう(Jesus Loves Gays)」と書かれたポスターが掲げられた。(c)AFP/RENZO GOSTOLI/AUSTRAL FOTO