【北京 9日 AFP】中国産小麦グルテンと米タンパク質濃縮物を原料に製造されたペットフードから、米食品医薬品局(FDA)が有毒性の化合物を検出した問題で、中国当局は9日、輸出に関する規制を強化する命令を出した。相次いで発生した健康被害で発覚した同国の管理基準の甘さに、国際社会には懸念が広がっている。

 輸出検査を行っている国家品質監督検査検疫総局(国家質検総局、AQSIQ)は、「今後こうした事件を防ぐため、当局は直ちに全国の各検査当局に対し、植物性タンパク質を使用した製品の検査態勢を強化するよう指示した」と発表。植物性タンパク質が含まれる輸出品はすべて、検査の対象とするよう命じたことを明らかにした。

 内閣に相当する国務院も、植物・水産加工品すべてに対する検査の強化と、農薬や化学肥料、薬物、畜産飼料などの使用規制を強める命令を出した。また、食の安全に責任を持ち、食品類の移動を監視する公的な制度の改善を求めた。

 ただ、中国は過去にも健康被害対策として同様の取り締まり強化策を打ち出している。

 これに先だって国家質検総局は、中国の2企業が、ペットフード原材料のプロテイン含有量を契約基準値まで増やす目的で、違法に有機化合物「メラミン」を小麦グルテンに添加していたことを、初めて認めた。このペットフードを食べたことで死亡するペットは、全米で数千匹に上る可能性がある。

 問題の企業は「徐州安営生物技術開発公司」と「浜州富田生物科技有限公司」の2社で、輸出の際に商品名を偽って検査を免れていたとしている。2社の所在地の公安当局が、関係者の捜査を開始し、すでに企業幹部数人が逮捕された模様だ。

 中国はこれまでにも、2003年の新型肺炎SARS問題や鳥インフルエンザ問題で情報の共有などの協力体制がなかった点を批判されてきた。今回の問題でも、同国の取り締まりの甘さを指摘する声が高まっている。

 写真は、北京のバイオセーフティ研究所で、安全性の検査に回される食品サンプル。(3月30日撮影)(c)AFP/TEH ENG KOON