【東京 9日 AFP】ジャック・シラク(Jacques Chirac)大統領(74)に代わって、国民運動連合(Union pour un MouvementUMP)のニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)党首(52)が大統領に就任することが決まり、大相撲幕内優勝力士への「フランス共和国大統領杯」贈呈が継続されるのか否か、定かではなくなってきている。

 仏大使館広報は8日、今年の夏場所での贈呈は見送られることになったと発表。「(千秋楽を迎える)27日には、シラク氏が大統領ではなくなっているから」というのがその理由。「後ほど日本相撲協会とこの問題について対応策を協議する」とする一方で、賞杯にシラク氏個人の名前ではなく国名を冠して授与を継続する可能性も排除しなかった。

 日本相撲協会の広報担当イイダ・ユウイチ氏は「仏大使館からは賞杯についてまだ何も知らされていない。仏側の決めることだ」と述べた。

 シラク大統領は愛犬に「Sumo」と名付けたと伝えられるほど昔から熱烈な大相撲愛好家。「ジャック・シラク杯」として知られる「フランス共和国大統領杯」は2000年に同大統領によって新設され、大相撲の主要6場所で幕内優勝力士に賞状と陶器の壺(つぼ)が授与されてきた。

 一方、大統領の座を狙う野心家として長らく知られていたサルコジ氏は、2004年に訪れた香港で、その政治的活動の一環として、シラク大統領との違いを示すために日本の大相撲を嘲笑。

 晩さん会の席上、サルコジ氏は、「ポニーテールをなでつけた太った男たちの格闘にどうしたら興味をかき立てられるだろう。相撲は知識人のためのスポーツではまったくない」と述べたと伝えられている。

 仏大統領杯は、優勝力士に贈られる20あまりの賞の中でも最も権威ある賞のひとつ。天皇賜を筆頭に、チェコ、モンゴル、メキシコ、中国、ハンガリー、アラブ首長国連邦(UAE)からもその栄誉を称える賞杯が贈られる。

 日本の角界では、この機会にサルコジ氏が相撲ファンになってくれるよう期待している。

 日本相撲協会理事で総合企画担当部長の伊勢ノ海裕己茂Isenoumi, Yukishige)親方(元関脇・藤ノ川、Fujinokawa)はスポーツ報知に対して、「(サルコジ氏は)相撲嫌いとは聞いているが、一から正しく大相撲を理解してもらうチャンス」と語った。

 写真は1998年4月28日、仏大統領主催のレセプション・パーティーで横綱(当時)を迎えるシラク大統領。(c)AFP