【東京 8日 AFP】国内各紙は8日、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)氏が親日派のジャック・シラク(Jacques Chirac)仏大統領の後を継いで大統領に就任することで、日仏の友好関係に影響が出るとの懸念を示した。

■サルコジ氏の日本に対する関心の薄さを懸念

 日経新聞は社説で「親日家のシラク氏と異なりサルコジ氏は日本との縁が薄い。安倍晋三政権は仏新政権との対話を深め、信頼関係を築く必要がある」と述べた。

 毎日新聞は「シラク氏は知日家だったが、サルコジ氏の関心は日本より中国に向かうかもしれない」とする社説を掲載している。

 強気な物言いで知られる前内相のサルコジ氏は、6日に実施された大統領選の決選投票で社会党(PS)のセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏を破り、17日に大統領に就任する。

 シラク大統領が熱心な相撲ファンで1970年代以来何度も訪日しているのに対し、サルコジ氏は相撲をばかにする発言をしたと報じられている。2004年、香港(Hong Kong)を訪問中の同氏は夕食の席で「なでつけられたポニーテールをした肥満体同士が闘うのを見て楽しむという気持ちが理解できない。相撲は知的なスポーツではない」と語ったとされる。

 保守系新聞の産経新聞は「日本への関心と理解を求めたい。早期来日と大相撲観戦を勧める」と述べている。

 一方、日本政府は7日、日本の国連安全保障理事会(UN Security Council)常任理事国入りを支持する意向を明らかにしているサルコジ氏の勝利を歓迎している。

■EUの対中武器禁輸措置解除も警戒

 国内各紙は、欧州連合(EU)の対中武器禁輸措置解除に積極的姿勢を見せるフランスに対し警戒感を示している。EUは、1989年の天安門事件を機に、中国向けの武器輸出を禁止している。

 発行部数の多さを誇る読売新聞は社説で「禁輸解除となれば、日本を取り巻く安保環境にも影響が及ぶ。日本としても、良好な関係維持というだけではすまなくなる」との見解を示した。

 写真は7日、大統領選で当選したサルコジ氏の写真を一面に掲載する夕刊各紙。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO