【ロサンゼルス/米国 28日 AFP】環境問題の専門家らは27日、カリフォルニア(California)州沿岸部で大量発生した有毒藻による被害が鳥類、アシカ、イルカなどの間で拡大し、死んだり病気になったりする野生生物の数が急増していると報告した。

■石油流出と並ぶ被害状況

 サンペドロ(San Pedro)の国際鳥類救護研究センター(The International Bird Rescue Research Center、IBRRC)のジェイ・ホルコム(Jay Holcomb)氏は、「35年間この仕事をしてきたが、これほど多くの種が被害を受けた事例は、石油流出事故以外で見たことがない」と語り、有毒藻による被害を受けた種が複数にのぼっていると指摘。

 動物に被害を及ぼす原因物質は、自然発生した微小の藻から検出されるドーモイ酸。有毒な藻を餌として摂取した魚や貝を鳥類や海洋ほ乳類が餌にすることで、ドーモイ酸が動物の体内に取り込まれる。

 藻の発生は毎年のことだが、環境問題の専門家らによれば2007年は例年より藻が多く発生し、ドーモイ酸の濃度も高いために有害性が強いのだという。

■多数確認される被害事例 

 現時点で被害にあった動物の正確な固体数は不明だが、関連機関からは多数の事例が報告されている。

 ロサンゼルス(Los Angeles)南部、ハンティントンビーチ(Huntington Beach)市にあるWetland and Wildlife Care CenterのDebbie McGuire氏はAFPに対し、「22日以降、有毒藻による死亡例は78件確認されており、現在も11頭の動物が治療を受けている。過去にも有毒藻による被害が発生したことはあるが、今回は特に被害が大きいようだ」と語った。同氏によれば、最も懸念されるのは、絶滅のおそれのあるカリフォルニアカッショクペリカンに対する影響だという。McGuire氏は「ドーモイ酸を摂取した鳥類は方向感覚を失なうなどの神経症状を起こす」と説明したうえで、「海辺や海にいるはずの鳥を、スーパーの駐車場で目撃したとの報告が1件寄せられている」と語った。

 全米海洋漁業サービス(National Marine Fisheries Service、NMFS)の発表によると、カリフォルニア州では2002年と2003年にもドーモイ酸を含む藻が発生し、1000頭以上のアシカ、約50頭のイルカが死に至るか、または病気にかかったという。

 写真は、アシカの親子(2005年8月10日撮影)。(c)AFP/Pablo PORCIUNCULA