【パリ/フランス 25日 AFP】アフリカ諸国は24日、パリで会合を開き、アフリカのゾウを密猟者から守り絶滅の危機から救うため、20年間の「象牙取引禁止措置」の導入を訴えた。

 象牙取引禁止措置を積極的に後押しするケニア、マリに加え、トーゴ、ガーナなどのアフリカ諸国は、6月に開催されるワシントン条約(絶滅のおそれがある野生動植物の国際取引に関する条約、CITES)締約国会議で象牙取引禁止の採択を目指している。

 コンゴ民主共和国、ニジェールを含むアフリカの約20か国の代表は今週、欧州を訪れ、象牙取引禁止についてEUの支持取り付けをはかる。

■急速に減少するゾウの頭数

 アフリカ諸国がワシントン条約事務局に提出した報告書によると、1940年代にはアフリカに最大500万頭いたゾウは現在までに約10分の1の40万-60万頭に減少。毎年2万頭のゾウが密猟者に殺されているという。

 ケニア野生生物保護庁(Kenya Wildlife Service)の生物保護管理の責任者、Patrick Omondi氏は、「ゾウの個体数は急激に減っている。ゾウの頭数回復や取締機関の制度を整備するためには、20年間の象牙取引禁止は不可欠だ」と語った。

■象牙取引の一部禁止は密猟の横行を招くだけ

 各国代表は、過去に導入された象牙取引の一部禁止策や数量割当制を厳しく非難している。

 サハラ以南のアフリカ諸国で南アフリカ、ナミビア、ボツワナの3か国が象牙取引禁止を支持していない。これらの国々は、ワシントン条約のもと、ゾウを保護し頭数を一定に維持するという条件付きで、象牙の一定量の輸出が認められている。

 「ワシントン条約で一定数量の象牙の販売が認められると、必ず密猟や不正取引が増加した」と、訪欧の団長を務めるマリの自然保護当局の責任者が話す。

■高騰する象牙を求め殺害事件も発生

 「密猟者は高度に組織化され、我が国の正規軍よりも優れた武器を持っている」ためだ。「対する我々は基本的な通信機器もないまま、数十万ヘクタールの公園・保護区を管轄している」

 実際、カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ニジェール、マリ、マラウイ、チャドでは、密漁の横行でゾウが激減している。また、チャドでは最近、公園監視員3人が射殺されるという事件も発生した。

 コンゴ民主共和国の代表は「日本では、象牙が1キロあたり850ドル(約10万円)で売れる。そのため、密猟者は10キロ20キロの象牙を得るためなら、どんなことでもする。同様に我が国では、角が高値で取引されるという理由で、サイが絶滅してしまった」と語った。

 写真はケニアの首都ナイロビ(Nairobi)で、押収した象牙を並べる野生生物保護庁の職員。(2003年2月25日撮影)(c)AFP/SIMON MAINA