【バグダッド/イラク 20日 AFP】中東3か国歴訪後、イラクを訪問中のロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は20日、イラクの指導者らとの会談を予定している。この会談で、シーア派(Shiite)、スンニ派(Sunni)間の抗争の停止と和解を促進するよう求めるとみられる。

■駐イラク米軍司令官も認める、反政府活動の活発化

 ゲーツ長官は前日、バグダッド西方ファルージャ(Fallujah)の駐イラク米軍基地で、米軍司令官らと会談した。バグダッドではスンニ派の武装反政府勢力が爆破攻撃を激化させており、18日には自動車爆弾で1日に200人以上の犠牲者が出しており、テロ対策などが議題の中心に上ったと見られる。

 バグダッドでイラク・米国合同軍による治安強化作戦を指揮するMichael Barbero少将は19日、スンニ派の武装勢力が反政府活動を活発化させていることを認め、「予測は現実的であるべきだ。大規模な攻撃は今後も続くだろう」と語った。また、「国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)がバグダッドの治安混乱を狙う限り、こうした攻撃は減ることはないだろう」」と述べている。

■米国内では、撤退を迫る民主党との攻防が
 
 今月12日には、イラク議会の建物内で自爆テロが起こり、議員1人が死亡、数十人が負傷した。議会は、バグダッド中心部の厳重警戒区域グリーンゾーン内にあるにもかかわらず、こうした事件を防げなかった。

 これらの事態を受け、米民主党のハリー・リード(Harry Reid)上院議員はバグダッドの治安について、「イラク戦争は敗北に向かっており、増派で達成できるものは何もない。イラク各地で今週起こった爆破テロを見れば明らかだ」と、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領の増派計画を非難した。

 米議会では、ブッシュ大統領率いる共和党政権と民主党の間で、イラク戦費に関する補正予算をめぐる攻防が続いている。民主党側は、補正予算案にイラクからの撤退時期を明記すべきだと主張。しかし、ブッシュ大統領は民主党案には拒否権を発動する姿勢を見せている。

 写真はエルサレムで19日、ホロコースト記念館でアミール・ペレツ(Amir Peretz)イスラエル国防相(右)と共に花輪を捧げるゲーツ長官。 (c)AFP/YOAV LEMMER