【パリ/フランス 20日 AFP】来月16日から27日まで開催される第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)では、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)やエミール・クストリッツァ(Emir Kusturica)、ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)、ウォン・カーウァイ(Wong Kar Wai)といったベテラン監督たちが、気鋭の若手監督たちとトロフィーを競い合うことになった。

■ベテラン勢と新人の争い?ノミネートリスト発表

 今年60周年を迎える世界最大の映画祭で、最高賞「パルム・ドール(Palme d’Or)」獲得を目指しコンペティション部門にノミネートされたのは22作品。監督リストには、ベテラン勢と若手の名が混ざり合った。

 パリ市内で開かれた記者会見で、運営代表者ジル・ヤコブ(Giles Jacob)氏は「記念すべき年ということで、文化的伝統と現代性、そして大御所と若手を融合させるラインナップにした」とコメント。

 選考委員会を率いるアーティスティック・ディレクターのティエリー・フレモー(Thierry Fremaux)氏は「60周年を祝うに相応しい、力作揃いのラインナップとなった」と語った。

■豪華ベテラン勢の顔ぶれ

 映画祭のオープニングを飾るのは、昨年審査委員長を務めた中国のウォン・カーウァイ(Wong Kar Wai)監督の新作「My Blueberry Nights」。全編英語で撮影された新作には、英国人俳優ジュード・ロウ(Jude Law)と米国人歌手ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)が主演している。

 1994年に「パルプ・フィクション(Pulp Fiction)」でパルムドールを獲得し、2004年に審査委員長を務めたクエンティン・タランティーノも、新作「Death Proof」でノミネート。過去に2度パルムドールを獲得したクストリッツァ監督は、新作「Promise Me This」で3度目の受賞を狙う。

 2003年にコロンバイン高校銃撃事件をテーマにした作品「エレファント(Elephant)」でパルムドールに輝いたヴァン・サント監督は、誤ってガードマンを殺害してしまった10代のスケーターの姿を描いた「Paranoid Park」で見事ノミネート。

■新人監督も参戦!

 新人監督たちのバラエティーも豊かだ。イラン出身のマルジャン・サトラピ(Marjane Satrapi)監督は、テヘランでの生活を描いた自身の人気漫画を映画化した「Persepolis」でノミネートされた。トルコ系ドイツ人のFatih Akin監督作品「Auf der anderen Seite」、韓国のイ・チャンドン(Lee Chang-Dong)監督作品「Secret Sunshine」、ルーマニアのCristian Mungiu監督作品「4 Luni, 3 Saptamini Si 2 Zile」でコンペティションに参戦。主催国フランスからは、期待の若手クリストフ・オノレ(Christophe Honore)監督が「Les chansons d’amour」で初のパルムドールを獲得を目指す。

■今年の審査員は?

 今年度の審査員代表を務めるのはダイアナ妃の死を巡り揺れ動く英国王室を描いた映画.「クィーン(The Queen)」のスティーブン・フリアーズ(Stephen Frears)監督。他にも、シドニー出身の女優トニー・コレット(Toni Colette)、トルコ出身のノーベル文学賞受賞者オルハン・パムク(Orhan Pamuk)、香港出身の女優マギー・チャン(Maggie Cheung)をはじめとした各国の映画人・文化人が審査員として今年の受賞作品を選定する。

■特別招待作品にも注目!

 コンペ部門外の特別招待作品としてオーシャンズシリーズ最新作「オーシャンズ 13(Ocean’s 13)」が上映され、レッドカーペットには、ブラッド・ピット(Brad Pitt)、ジョージ・クルーニー(George Clooney)、ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ(Catherine Zeta-Jones)、マット・デイモン(Matt Damon)、アル・パチーノ(Al Pacino)、アンディ・ガルシア(Andy Garcia)という豪華出演者たちが登場する予定だ。

 他にも、2004年に映画「華氏911(Fahrenheit 9/11)」でパルムドールを獲得したマイケル・ムーア(Michael Moore)監督が米国における医療問題を取り上げたドキュメンタリー作品「Sicko」、英国人映画監督マイケル・ウィンターボトム(Michael Winterbottom)監督がイスラム過激派に殺害されたジャーナリスト、ダニエル・パール(Daniel Pearl)氏の姿を描いた「A Mighty Heart」も招待作品として上映される。

写真は、第59回カンヌ国際映画祭で審査委員長を務めたウォン・カーウァイ監督。2006年5月21日に開かれたレジオン・ドヌール勲章(The Legion of Honour)授章式にて。(c)AFP/FRANCOIS GUILLOT