【シカゴ/米国 18日 AFP】シカゴ国際問題評議会(Chicago Council on Global Affairs)が18日に発表した調査結果によると、米国に対する国際社会の信頼度が低下している傾向が明らかになった。

 調査対象となったのは、中国、インド、米国、インドネシア、ロシア、フランス、タイ、ウクライナ、ポーランド、イラン、メキシコ、韓国、フィリピン、オーストラリア、アルゼンチン、ペルー、イスラエル、アルメニア、パレスチナ自治区の18の国と地域。これらで、世界人口のほぼ56%を占める。

 調査は2006年6月から2007年3月にかけて無作為に、電話、または面接方式で行われた。調査結果誤差は、1.5%から4.0%程度。

■米の外交政策に不満広がる

 調査の結果、米国の外交政策に対して、国際社会の不満が広がる一方、米国に「世界の警察」としての役割から完全撤退を望む声は、ほとんどないこともわかった。

 同調査を担当した評議会取締役のChristopher Whitney氏は、「米国が実施してきた外交政策への否定的意見が深まる傾向が明らかとなった」と語る。

 同氏によると、外交政策における米国の干渉主義は、長年にわたって国際社会の批判を受けてきたという。  調査対象国や地域に限れば、イラク戦争の影響を受け、米国への不満は予想以上に高まっているという。

 一方で、回答者らは、国際社会における米国の重要な役割への理解も示しており、不満回答は、米国に国際社会への介入から完全に撤退すべきではないとの感情が入り混ざっているという。

 Whitney氏は、また、米軍の海外基地閉鎖を求める意見が少ない点を指摘、多くの回答者が米国との二国間関係は改善していると感じているという。

「米国への否定的な感情も、『米国の関与は望まない』というものではなく、もっと微妙なものだ」とWhitney氏は説明する。

「彼らは、問題解決にあたっては、国際機関と協力し同盟国や友好国の意見に耳を傾け、国際社会の一員としてより協調的で建設的な行動することを、米国に求めているだけだ」

 しかし、回答結果は、米国への信頼感の欠如や、国際問題への過剰な干渉を示す厳しいものとなった。

■米の国際社会での信頼度、過半数「信頼しない」

「米国が国際社会で果たす責任への信頼度はどの程度か」との質問について、「全く信頼していない」、「あまり信頼していない」との回答は、アルゼンチンで84%、ペルーで80%、ロシアで73%、フランスで72%、インドネシアで64%、中国で59%、アルメニアで58%、タイで56%、韓国で53%、インドで52%と、多くの国で過半数を超えた。

 また、オーストラリア(40%)やウクライナ(37%)でも同様の回答が3割以上に達した。  対照的に、米国への強固な支持を示したのはフィリピンとイスラエルだ。米国を「非常に信頼している」、「ある程度信頼している」との回答は、フィリピンで85%、イスラエルで81%と高い割合だった。オーストラリアが59%、ポーランドが51%で後に続く。

 一方、4人中3人の米国人が、米国が必要以上に国際問題に介入していると考えている。

 同様の回答が高いのは、フランスが89%、オーストラリアが80%、中国が77%、ロシア、ペルーが76%、パレスチナ自治区が74%、韓国が73%、インドネシアが68%、ウクライナが67%、アルメニアが63%、アルゼンチンが62%、インドが53%となっている。

 米国は国際問題に介入しすぎていないとの回答が過半数を超えたのは、フィリピン1か国だけだった(57%)。

 イスラエルは「介入しすぎている」と「介入しすぎていない」との回答が共に48%で、意見が拮抗した。(c)AFP/Alejandro PAGNI