【エルサレム/イスラエル 14日 AFP】パレスチナ自治区のヨルダン川西岸を貫通して建設中の分離壁に抗議して行われた2つのデモが13日、イスラエル警察との衝突に発展し合計17人が負傷した。イスラエル公共ラジオとパレスチナ自治区の医療関係者が明らかにした。

■住民、イスラエル活動家が負傷

 イスラエルのラジオ局は、パレスチナ住民とイスラエル人活動家のデモを鎮圧しようとしたイスラエル警察が催涙ガスを撒き、ゴム弾を発砲したと報じた。

 ラマラ(Ramallah)に近いビリン(Bilin)では、12人が軽傷を負ったと同ラジオは伝えた。現地のAFPカメラマンによると、報道カメラマン4人が短期間身柄を拘束されたという。

 さらに、ヨルダン川西岸ベツレヘム(Bethlehem)近郊のSalmunaでも抗議活動をしていた5人が負傷した。

■とまらない壁に対する抗議活動

 農業を主な産業とする町ビリンでは、防御壁に抗議する反対派の活動家らが毎週集会を開き、イスラエル警察と衝突を繰り返してきた。

 イスラエル政府は、国家をテロから守るため、コンクリートと有刺鉄線からなる全長700キロの防御壁が必要だとして建設を進めているが、パレスチナ住民は、防御壁が自治区の土地の強奪し、農民と農地を分断、住民同士を隔てるものと主張している。

 国際司法裁判所(International Court of justice、ICJ)は2004年、分離壁は違法との判断を示したがこれには拘束力がないため、イスラエルはそれ以降も壁の建設を進め、すでに計画の65%が完成している。

 写真は13日、ビリンでの抗議活動中にイスラエル警察が催涙ガスを発砲し、オリーブの木の陰に逃げる活動家ら。(c)AFP/ABBAS MOMANI