【マルセイユ/フランス 23日 AFP】カナダ人ビジネスマンのジャック・カシュカー(Jack Kachkar)氏が交渉を進めていたサッカーフランス1部リーグのオリンピック・マルセイユ(Olympique de Marseille)の買収が、元会長で現在も主要株主であるロベルト・ルイ・ドレフュス(Robert Louis-Dreyfus)氏がカシュカー氏の要求を断ったため、事実上失敗に終わったことが明らかになった。

 カシュカー氏は北米、欧州で従業員575人を抱える製薬会社Inyxの社長で、1月にマルセイユ買収の為にドレフュス氏に対し、1億ユーロ(約156億円)から1億5000万ユーロ(約234億円)の金額を提示していた。また同じ1月に発表したコメントによると、2月には交渉は完結するとしていた。

 カシュカー氏は3月1日の最終交渉で合意に達していたが、幾度かの支払い延期の要求にドレフュス氏が売買を中止させたとし「カシュカー氏が22日に再度支払い延長を求めてきましたが、ドレフュス氏が拒否しました。ドレフュス氏は数日間の内にクラブの株保有についての決断をするでしょう。」とドレフュス氏の広報担当が発表している。

 これを受けてマルセイユのパペ・ディウフ(Pape Diouf)会長はドレフュス氏は常にクラブにとって一番の利益を心の中に留めておいたとし「ロベルトは距離を保ちたかったんだ。いい状況の下で事を進むめたいと常に主張してきていたし、今回の状況はそうではなかった。だから市やクラブ、従業員やフランスサッカー界に関われることへの尊敬の念の基に支払い延期の要求を拒否した。」と語った。

 マルセイユは1993年欧州チャンピオンズリーグ(Champions League)の決勝でACミラン(AC Milan)を1-0で降し、フランス唯一の同大会覇者であるが、その夏に発覚した八百長疑惑で2部リーグへの降格を余儀なくされ、以降そのような輝かしい栄光はたどっていない。

 写真は、会見に臨むディウフ会長。(c)AFP/BORIS HORVAT